研究課題/領域番号 |
19K12430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64050:循環型社会システム関連
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
黒田 桂菜 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (70708023)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | メタン発酵残渣 / 色落ちノリ / 栄養塩の偏在 / 海産バイオマス / ノリの色落ち / 微量金属 |
研究開始時の研究の概要 |
大都市が隣接する閉鎖性海域である大阪湾では,過栄養状態に起因する緑藻類の爆発的な増殖によって海域環境に深刻なダメージが起きているとともに,南西部では本来黒色であるノリが茶褐色になるノリの色落ちが生じるなど貧栄養状態となり,いわゆる「栄養塩の偏在」が生じている。 本研究では,海産バイオマス由来のメタン発酵残渣には,ノリの色回復が有効とされる窒素やリンの他に微量金属や重金属が含まれていることに着目し,室内培養実験および実海域を模擬した水槽実験を通して,微量金属がノリの色回復に与える効果と重金属リスクを検証し,海産バイオマス由来のメタン発酵残渣の海域利用の有効性を明らかにする。
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研究成果の概要 |
メタン発酵残渣の色落ちノリへの有効性を明らかにすることを目的として,連続メタン発酵実験・ノリ培養実験を行った。その結果,混合メタン発酵によってメタン生成量や残渣成分が安定し,重金属類の濃度を制御できること,アオサ由来の残渣(液相)にはノリの色落ち解消となる微量金属成分が他のバイオマスに比べ多く含まれること,混合メタン発酵残渣を用いて培養したノリは,顕著な色回復を示すとともに,重金属の影響も小さいことがわかった。一方,微量金属が多い残渣(固相)の活用や実スケールを鑑みた残渣の使用方法などの技術的な課題に加えて,混合メタン発酵を実現させるための未活用バイオマスの収集シナリオについて課題が残った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により,メタン発酵残渣を制御・管理し,海域で利用する可能性が具体的に示された。色落ちノリは喫緊の課題であり,メタン発酵残渣により化学肥料の施肥削減につながる。また,栄養塩の偏在の解消につながるとともに,栄養塩の適正管理に向けた新たな活路が見出されたといえる。加えて,メタン発酵残渣の処理が課題の一つであるメタン発酵技術の普及にもつながる。次に,アオサ由来の発酵残渣の特異な特徴を活かすことで,未価値同然の海産バイオマスの付加価値が向上し,未活用海産バイオマスに新たなインパクトを与えるものである。最後に,海を介した物質循環の健全化につながり,海陸一体型物質循環型社会の礎となる。
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