研究課題/領域番号 |
19K12453
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
平野 悠一郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00516338)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 森林政策 / 多面的利用 / アメリカ / 保全地役権 / トレイル地役権 / 権利関係 / 調整制度 / 制度的基盤 |
研究開始時の研究の概要 |
近年のアメリカでは、森林をめぐる木材生産、景観や生態系の保全、各種のレクリエーション等の多面的利用が発展してきた。この発展を可能とした制度的基盤を、①保全地役権をはじめとした柔軟な土地権利関係の運用、②各種の保障制度(助成金・税制優遇・関連保険等)、③多様なニーズを効果的に結びつける調整主体の役割の検証を通じて解明し、今後の日本等で、森林の有効活用による地域活性化を図るための方向性を提示する。
|
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスへの対応のため、アメリカでの実地調査がほぼ半年間制約され、予定通りとはならなかった。しかし、下半期に入って調査での渡航制限が緩んだため、現地調査を一回実施できた。 その結果、アメリカの保全地役権(Conservation Easement)の設定に伴う森林の多面的利用の担保に関して、東北部での実態解明に大きな前進が見られた。まず、保全地役権の設定は、その主要な保有主体であるランドトラスト(非営利土地保全団体)・行政機関と土地所有者の双方の働きかけに基づいて行われる。保有主体側は、森林の保全やレクリエーション利活用を目的とした寄付・ファンド獲得や助成政策がその設定の動機となる。一方で、土地所有者は、税制優遇措置や林地の維持が動機となる。また、林地上のトレイルにおけるレクリエーション利活用を担保する制度として、トレイル地役権(Trail Easement)が、保全地役権とは別個に存在することも明らかとなった。場合によっては、保全地役権が設定された土地内のトレイル底地に対して、トレイル地役権が上書きされる形で設定され、その保有主体がトレイルの維持管理とレクリエーション利用保障を恒久的に請け負うケースも見られる。これらの各種の法的権利の柔軟な運用を通じて、アメリカ東北部においては、林業、保全、レクリエーションといった多面的な林地利用が担保されている実態が浮き彫りになってきた。また、こうした法的権利の運用を含めて、土地所有者とランドトラスト・行政機関等を結びつける役割を果たしているのは、各種の公的・民間フォレスターである実態も改めて確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当年度の上半期にかけて、新型コロナウイルスの世界的な蔓延が続いていたため、予定していたアメリカでの実地調査が下半期のみ実施可能であった。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、アメリカ各地を訪問し、森林の多面的利用を促す制度の運用実態を探ることに大きな力点が置かれている。今後は、新型コロナウイルスによる渡航への影響が緩和され、滞りなく実地調査を行うことができると予想される。このため、研究期間の延長を再申請した上で、当初の成果を達成していく方針である。
|