研究課題/領域番号 |
19K12463
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
|
研究機関 | 龍谷大学 (2022-2023) 神戸市外国語大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
櫻井 次郎 龍谷大学, 政策学部, 教授 (40362222)
|
研究分担者 |
北川 秀樹 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60360252)
知足 章宏 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (90525156)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 中国 / 環境政策 / 汚染 / 公益訴訟 / 市民参加 / 情報公開 / 環境法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、先進的な情報手段の発達が環境政策への市民参加および環境政策の実効性確保に与える影響とその限界を明らかにすることを目的とし、特にIT産業、ハイテク産業の発達が目覚ましい中華人民共和国に焦点を当てます。情報手段の発達は人々の行動パターンを大きく変え、環境政策への市民参加の可能性を生み出す一方、中国のような権威主義体制の下では、厳しい情報統制によってその限界もみられます。
|
研究実績の概要 |
本研究の申請書を書いた2018年度から5年半が経ち、中国の環境政策における市民参加のあり方も大きく変化した。現在から振り返ると、2018年は習近平体制下の環境政策の転換点にあった。それを象徴するのが、2018年に中国共産党中央と国務院の連名で出された生態環境保護に関する「意見」である。この意見では「習近平総書記の生態文明思想」が環境政策における「指導思想」と位置づけられ、市民が「公益訴訟」に参加する際も「党の指導」に照らして「規範的」で「健全」であることが求められるようになった。このように、中国で注目されていた「環境公益訴訟」の運用が2018年以降大きく変化し、市民による環境政策への参加に対しても「党の指導」の箍が課せされることになった。このような変化については、櫻井(2023)において詳細に論じている。 中国環境政策の性質が以上のように2018年を境に大きく変化することによって、本研究の課題であった「情報手段の変化」が「環境政策への市民参加」に与える影響も、当初の想定とはほぼ逆向きのものとなった。すなわち、発達した情報手段が党・国家による市民やNGOに対する管理の厳格化をもたらし、市民は「党の指導」に照らして「規範的」で「健全」であるように管理される対象となった。情報手段の発達が環境政策への効果的な市民参加を促し、市民参加を通して環境行政の「健全化」を期待した2018年の申請時に比べ、下からの市民参加という観点からは後退しているように見える。 もっとも、中国の汚染状況をリアルタイムで数値化し地図上に示す中国の環境NGOのウェブページは今も生きており、情報発信の自由度には限界があるものの、中国国内における環境問題への関心は低下していないように見える。中国の変化は常に急激であるため、今後も情報の収集と分析を続けたい。
|