研究課題/領域番号 |
19K12466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
山口 臨太郎 国立研究開発法人国立環境研究所, 社会システム領域, 主任研究員 (30557179)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 持続可能性指標 / 包括的富 / 割引率 / ジェニュイン・セイビング / ハートウィック・ルール / 自然資本 / 制度の質 / 世代間衡平性 / 富会計 / 持続可能な発展 / GDP / グリーンGDP / 収益率 |
研究開始時の研究の概要 |
人工資本・人的資本・自然資本を集計した包括的富(IW)の変化は、持続可能性指標の一つとして注目されている一方で、経済学的な意味合いは明らかになっていない点も多い。そこで本研究では、IWのマクロ経済学的研究を行う。第一に、GDPとIWとの理論的関係を明らかにし、時系列データによりGDPとIWとの関係を分析する。第二に、IWの変化が実際に人々の福祉向上に結びついているかどうかを分析する。その際、人口や環境アメニティの変化も考慮する。第三に、割引率がIWに与える影響について、理論とデータによる実証を行う。第四に、制度の質がIW変化に与える影響を検討する。最後に、IWの道徳哲学的位置づけを検討する。
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研究成果の概要 |
人工資本・人的資本・自然資本を集計した包括的富の価値が減らないことが持続可能性の条件とされる。本研究ではそのマクロ経済的位置づけを分析した。まず、富の変化と消費の変化の関係を表すハートウィック・ルールにつき、1人当たり消費を維持するのに必要な「1人当たり投資」と「1人当たり富の増減」の各指標が、現在から将来の人口予測に影響されること、近年主要国で投資が不足している可能性を明らかにした。次に、割引率を構成するパラメータが富と富の変化に与える影響を明らかにした。また、制度の質が自然資本の変化に与える影響を分析した。さらに、道徳哲学的に裏付けつつ、資本の利活用度を一種の制度とする定式化を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
1人当たり世代間福祉を持続させる基準(ジェニュイン・セイビング)では、貧困国で投資が不足することは知られていたが、人口が変化するとき1人当たり消費が持続するかどうかは別問題である。そこで本研究では、1人当たり消費を持続させる条件を明らかにした上で、人口予測データを用いて主要国における投資の水準を計測した。将来人口増加が予測され、消費・賃金ギャップが大きい国では(先進国も含む)、1人当たり投資が不足する可能性が示された。これは、将来の人口予測を含めて持続可能性を判定する重要性を示している。 また、割引率や制度の質が持続可能性に与える影響、費用便益分析への適用は、研究継続が必要な重要な論点である。
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