研究課題/領域番号 |
19K12473
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東京工業大学 (2020-2023) 山梨大学 (2019) |
研究代表者 |
渡辺 暁 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (20635338)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | メキシコ政治 / 地方選挙 / ユカタン / 移民送出地域 / 移民 / 地域社会 / 地方政治 / 先住民 / 移民と政府 / メキシコ / アメリカ合衆国 / 移民キャラバン |
研究開始時の研究の概要 |
アメリカ合衆国に住むメキシコ系移民、つまりメキシコ合衆国から移住してきた人々は、1000万人にも上る。彼らはどのような経緯で移民し、どのように生活し、そして自分たちの社会を作っているのだろうか。さらには移民先のアメリカ合衆国の社会、ならびに故郷の社会とのあいだで、どのようなつながりを築いているのだろうか。本研究は、メキシコ南東部のユカタン州から、カリフォルニア州の都市部(ロサンゼルス及びサンフランシスコ近郊)に移民した先住民の人々、そして彼らの出身地の人々への聞き取り調査を通して、移民としてひとくくりにされ、顔の見えにくい存在となっている彼らの思考と生活のようすを明らかにしようと試みる。
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研究実績の概要 |
本研究は2019年度に採択され、2023年度まで5年間の予定であったが、メキシコおよび米国カリフォルニア州などメキシコ系の移民が多く住む地域でのフィールドワークを研究の中心的な手法として計画されたため、コロナ禍によって渡航が困難であったあいだは文献調査とSNS等での情報収集に頼らざるを得ず、長らく当初の予定のような形で研究を進めることができずにいた。
しかし2024年2月から3月にかけて1ヶ月弱のメキシコでの現地調査(調査地のユカタン州における3週間程度のフィールドワークとメキシコシティにおける1週間弱の資料収集)を行うことができ、また2024年度までの延長も承認していただいた。これまでの遅れを取り戻すとまでは言えないが、そしてまたこの1年間に限っては研究業績を出すことはできなかったが、少なくとも最初の4年間よりは研究が進捗したと考えている。
この2月から3月にかけてのユカタン州での調査は以下のような理由で有意義なものとなった。2024年6月2日に投票が行われる大統領・州知事・市町村長選挙に向けての準備が活発化しており、与党モレーナ(国民再生運動)のユカタン州における市長選立候補者の集まる内部集会に出たりした一方で、対立する候補を応援する関係者にも聞き取り調査をするなど、多方面からの調査をすることができた。今後は投票日の短期の現地調査及び、夏季休暇を利用しての1ヶ月程度のフィールドワークを予定しているが、それらの調査につながる予備調査として、かなり質の高い聞き取りができたと考えている。これらのフィールドワークでは、これまで与党モレーナの存在感が薄かったユカタン州においてなぜ急激に勢力を拡大したのか、その理由を明らかにすること、そしてそうした地元での動きに移民の人々がどのように関与しているかを見ることで、これまでにはない新しい知見を打ち出していけると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度末に久々の現地調査を行うことができたが、残念ながらそれまでの渡航制限による研究の遅れを取り戻すには至っていない。とはいえ、この2月から3月における調査で、与党モレーナの急速な勢力拡大と、旧来の二大政党だった制度革命党(PRI)と国民行動党(PAN)の選挙協力に代表される、新しい政治の動きを現地の草の根の視点から捉えることができたことは、かなり大きな成果であったと考えている。したがって、ここまでの遅れを取り戻し、今年度末までにある程度の研究成果を出すことは、十分可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
前述のごとくユカタン州においては、与党モレーナの急速な勢力拡大と、旧来の二大政党だった制度革命党(PRI)と国民行動党(PAN)の選挙協力に代表される、さまざまな新しい政治の動きが見えてきている、筆者がこれまで長期にわたって続けてきたフィールドワークの結果、現地で政治に関わっているさまざまな知り合いがいて、彼らに聞き取りを行うことで、草の根の視点からそうした変化が実際に社会にどのような影響を及ぼしているのかを捉えることができる、と考えている。こうした質的調査の結果は、選挙結果などのデータの分析や、政党や大物政治家のオフィシャルな言説の分析とはことなる(あるいはそれらを裏付ける)、より市民の目線に近い政治のあり方を描き出すことが可能ではないかと考えている。こうした点からも、2019年以来初めて可能となった現地でのフィールドワークを、今後の研究の推進方策の中心に据えていきたいと考えている。
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