研究課題/領域番号 |
19K12476
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 宏樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (90625302)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 有用植物 / 伝統利用 / 商業利用 / 持続性 / 保全 / アロマオイル / 民族植物学 / グローバル化 / 持続可能性 / マダガスカル |
研究開始時の研究の概要 |
マダガスカル島北西部にのみ自生する高木種 Cinnamosuma fragrans は樹皮や葉に芳香を有し、咳や発熱の伝統的な治療薬として現地住民に利用されてきた。近年に芳香成分とその抗菌作用が実証されて以降、精油がアロマオイルとして商品化され、先進国においても購入が可能となっている。しかし、こうしたグローバルな商業化が地域住民の伝統的な利用体系や同植物が生育する生態系にどのような影響を与えているかは明らかになっていない。本研究では原産地から国際市場に至る資源流通、原産地における伝統的な利用と野生個体群の現状を調べることでその影響を明らかにし、植物資源の商業化と保全の両立を再考する。
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研究成果の概要 |
マダガスカルでは森林資源の伝統的な知識に基づき、精油などの植物資源のグローバルな商業化が起こっている。植物利用の商業化が伝統的な利用体系に及ぼす影響を検証した結果、精油生産地ではCinnamosma fragransなどの植物資源が非持続的に搾取されていた。国立公園はこうした植物を保護し、住民による持続的な利用を許可している。生物と文化の多様性が長期間共存する状況下では植物利用の知識が蓄積され、原生林は有用植物の宝庫として認識されている。近年は商業的利用が禁止される一方で焼畑や木炭生産に起因する森林火災が有用植物資源の供給サービスを脅かしており、火災を管理する対応策を早急に整備する必要がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
野生の植物は人々の利用が伴って有用植物という価値が生じる。その知識に基づき植物資源が商業化されると非持続的な搾取に陥り、伝統的な利用体系が脅かされてしまうことが多い。そうした中で住民参加型の保護区域は森林を保護し、住民による持続的な森林利用を維持させる機能を有している。こうした状況下では伝統的な知識の蓄積が促進され、自然林が有用植物の宝庫として価値を高まることが示唆された。本研究の成果は、生物多様性と文化多様性が共存することの意義と必要性を示している。
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