研究課題/領域番号 |
19K12482
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
下野 寿子 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (40294607)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 中台関係 / 台湾産果物の対中輸出 / 屏東県 / 台湾産パイン / 蔡英文政権 / 屏東県長 / 対中果物輸出 / 民進党籍県長 / 台湾 / 対中農産物輸出 / 潘孟安 / 対中輸出 / 農産物貿易 / 檸檬 / 曹啓鴻 / 恵台政策 / 台湾農業 / 対中農業投資 / 農業合作試験区 / 台湾農民創業園 / 両岸農業協力 / 台湾産果物 / 中国の台湾政策 / 台湾の農村 / 農会 |
研究開始時の研究の概要 |
台湾との統一を国家の目標として掲げる中国は、胡錦濤政権以降、台湾独立志向の民進党が基盤とする台湾中南部において、対中親近感を強めようとしてきた。その方策の一つが、中国共産党と台湾の国民党の政治的措置に支えられた、台湾産果物の対中輸出促進であった。以来、台湾産農産物の対中依存度は急速に高まり、台湾の農民・貿易商・農業関係組織は中国の台湾政策の影響を受けやすくなった。 こうした状況を踏まえて、本研究は、台東県など、対中輸出される果物の代表的な産地について調査を行い、果物の対中輸出に埋め込まれた政治性ならびに、中国の台湾政策が台湾の農村社会に与えた影響について明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、馬英九政権時代に急増した台湾産果物の対中輸出が台湾社会に与えた影響について考察し、2つの知見を得た。第一に、生産から輸出、販売促進活動等の実態を知る上で、生産地の地方政府の視点からの考察は極めて有益である。本研究では、屏東県の事例を通して、地方政府の対中認識の変化に基づく輸出支援政策の変化、輸出や販売促進活動を妨げる要因とその克服、県長のリーダーシップについて議論し、生産地における果物輸出への対応を部分的に明らかにした。第二に、詳細の解明は今後の課題となるが、果物輸出をめぐるリスクや課題の解決において、中央政府と地方政府による政策協調と、各政党内部の協力関係がそれぞれ観察された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、中央政府と末端の生産者や貿易商をつなぐ役割をもつ地方政府に注目し、どのように果物輸出を支えてきたのかについて一定程度明らかにしたことである。台湾産果物の対中輸出は、中台関係の一部として議論されてきた。しかし、生産地の視点から対中輸出を再考すると、農民の所得向上の必要性や、小農で品質管理が難しいこと等、中台政治関係だけではない本質的な問題が浮かび上がってくる。民進党の支持基盤となっている屏東県が果物の対中輸出を促進したように、地方政府は政党の対中姿勢よりも地域の農政の観点から行動することが明らかになった。
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