研究課題/領域番号 |
19K12486
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
村嶋 英治 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 名誉教授 (70239515)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 日タイ関係史 / 近代タイ仏教史 / 日タイ仏教交流 / タイ近代社会 / 在タイ日本人 / タイ近代仏教 / 在タイ邦人個人文書 / 近代タイ史 / 個人文書 / 近代日本タイ関係 / 在タイ日本人個人文書 / 近代タイの社会構造 / 近代タイの歴史 / 近代のタイ社会構造 / 日タイ関係 / 在タイ日本人個人記録 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近代国家への移行期のタイ社会構造(階層、パトロン・クライアント関係、多民族性)の実態を、従来の図式的法制的説明を超えて、詳細に明らかにしようとするものであり、かつ用いる資料は、既存研究が利用したことがない新資料、即ち在タイ日本人の個人文書である。 在タイ日本人の個人資料は、タイ華僑が残した大量の僑批(出稼ぎ華僑が本国送金に添えた手紙)やタイ語資料に比しても、貴重な資料的価値を有しており、この時期のタイ社会研究の重要かつ新しいソースである。 それ故、新たな知識を大幅に付け加えることができる。
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研究実績の概要 |
本研究の課題は、近代国家移行期(本研究では主に1880-1930年代を対象期間とする)のタイ(シャム)国の社会構造(とりわけ、社会階層秩序、パトロン・クライアント関係、多民族社会的性格)の実態・実相を、従来利用されたことがない独自のソースであり、かつ他にはない詳細な情報から成る、在タイ日本人の個人文書を用いて、より具体的かつ詳細に解明することである。これによって法制面に偏った既存研究を超え、タイ社会構造の生きた実態を明らかにすることである。本研究では、在タイ日本人の中でも、一定規模の人数を有し、かつ知識層として記録や報告が少なからず残っている仏教者に主な焦点を当てている。2022年度は、前年に比しコロナ禍が軽減され、調査地であるタイ国への調査渡航が3年ぶりに可能になったので、本科研費による初めてのタイ調査を実施した。即ち、2022年秋の二ヵ月間の在タイ調査により、タイ国立公文書館、タイ国立図書館及び大学図書館等に保存されている、訪タイ日本人僧侶関係の記録等を収集した。国内においては、図書資料等の収集とともに、訪タイ日本人僧侶の関係者に電話其他の方法で問い合わせを行い、新資料の発掘に努めた。収集した資料等を用いて以下のような研究成果を公刊した。 村嶋英治「クルーバー・シーウィチャイの第2回バンコク軟禁(1935年11月-36年5月)の背景、過程及び結末:中央サンガ・エリートによるシーウィチャイ派弾圧処分の徹底」『アジア太平洋討究』45号、2022年12月 村嶋英治「タイにおける組織的日本文化広報の先駆者: 日泰文化研究所主事平等通昭(通照)の「興亜興仏」的文化交流事業(1940-43年)」『アジア太平洋討究』46号、2023年3月 村嶋英治「シャム(タイ国)における「からゆきさん」の歴史:1885年―1920年」『アジア太平洋討究』46号、2023年3月
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本科研プロジェクトにおいて、2022年に初めて長期の在タイ調査を実施することができた。この時の調査で、タイ国立公文書館で、第二次世界大戦期の日タイ文化研究所主事平等通昭、仏教留学生佐々木教悟及び汎太平洋仏教青年会大会についての貴重な資料を発見することができた。 また、1941年に半年ほど在タイした山本快龍のタイ仏教調査報告を端緒として、クルーバー・シーウィチャイの事績研究を開始したが、本件に関してタイ国立図書館等で新たな資料を見い出すなど研究を深めることができた。その成果を、ナレースワン大学等で報告した。 2019年に本プロジェクトを開始以来既に10本の論文を発表しており、調査及び研究発表は比較的順調に進行していると言うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は本プロジェクト最後の年である。既に目標とした調査の大部分は終了しているので、本年度は収集済みの資料を用いて、日タイ仏教交流とタイ社会に関する報告書を完成させることに努める。なお、執筆時に必要が生じた場合には、追加的に小規模な調査を実施する。
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