研究課題/領域番号 |
19K12519
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 宮崎国際大学 |
研究代表者 |
安富 淳 宮崎国際大学, 国際教養学部, 准教授 (50704673)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 殉職 / 兵士 / 海外任務 / 国民支持 / 安全保障 / 東南アジア / 軍隊 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、兵士の殉職を巡る政府の扱いが、安全保障政策に対する国民支持への影響について明らかにする。軍の任務が拡大し、兵士の殉職リスクも高まるなか、各国政府は殉職兵士をどのように扱ってきたか、殉職をめぐる報道や世論は国家の軍事作戦や安全保障政策にどのような変化をもたらしてきたか。国家が安定的な安全保障政策を実施するためには、どのような制度、備え、コミュニケーション、国民的議論が必要か。このような「軍と社会」に関する研究は、冷戦後の欧米で先行してきたが、アジアでは、この分野の実証的研究はごく限定的である。そこで本研究では、東南アジア諸国を調査した上で、欧米の理論のアジアへの応用と検証を行う。
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研究実績の概要 |
東南アジア諸国の各国政府が殉職兵士をどのように扱い、それが、とりわけ対テロ対策や国連PKOなどの軍の新たな海外派遣各国の安全保障政策の形成にどのような変化をもたらしてきたか。また、各国の政策の変化の特徴が異なる要因はなにか、の問いのもと、東南アジア諸国4カ国を対象として比較研究を実施した。3年研究の初年度として、上記の問いのもと、以下の活動を実施した。 ① 文献調査:欧米を中心とした先行研究に基づく文献研究、および殉職と安全保障政策に対する国内支持・世論形成に関する理論に関する文献研究。 ② 北米軍事社会学会 (米国ヴァージニア州)において研究報告(2019年11月8-10日、於:バージニア・レストン)。 ③ アジアの殉職兵士の扱いにおける国際シンポジウムを開催(2020年1月13日、於:大阪大学大学院国際公共政策研究科)。同分野を専門とする研究者とディスカッションを実施。日本、韓国、インドネシア、タイ、フィリピンおよびイスラエルの専門家から、各国における殉職兵士の扱いおよび安全保障、特に海外ミッションに関する政策への影響についての事例について聞き取りを行い、それらをもとに、社会学、政治学、人類学の視点から議論を実施。 ④ 国際学会「イスラエル民軍研究協会2020年研究大会」(2020年2月19-20日、於:Kinneret大学)にて研究発表。イスラエルにおける殉職における兵士および市民の受容および軍による補償法、ならびに報道方法の現状について聞き取りを実施。イスラエル国内の軍事博物館(Ammunition Hill Memorial and Museum)および国内の殉職兵士記念墓地・記念碑を訪問し、同国の殉職兵士に対する追悼状況を調査。⑤ 出版実績:『防衛学研究』「海外派遣時の殉職事案をめぐる軍隊の対応と役割:ドイツ連邦軍の事例から」、第61号、2019年9月、9-27頁。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究進捗は、概ね計画通りであると自己評価する。その根拠として以下を挙げる。 ①本研究テーマに関する基礎資料の収集および理論的考察を実施した。欧米の事例を基盤とした兵士の殉職および国民世論・外交安全保障政策に対する国民支持の関係に関する先行研究を整理し、アジアへの援用性に関する検証を実施した。 ②国際学会に出席し(2019年11月および2020年2月、)研究発表を行ない、中間データを報告した。 ③アジアの殉職兵士の扱いにおける国際シンポジウムを開催(2020年1月)したことにより、欧米の先行研究の東南アジアにおける汎用性の可否および範囲について検証ができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染予防措置により2020(R2)年度に研究発表を予定していた国際学会および研究会が中止あるいは延期となったため、研究発表の機会が限定的になる可能性がある。このため、オンラインによる研究会の出席の他、各研究者とのメールやSNS等を介しての議論を活発に実施することによって対応する。同様の理由により、2020(R2)年度に計画している現地調査についても実施が困難と判断した場合は、インターネットによる聞き取り調査を可能な限り実施し、対面による聞き取り調査や現地情報収集は2021年度に繰り越すことを見込む。
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