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ケニア・サンブル社会におけるジェンダー役割の変容と女性自助グループの可能性

研究課題

研究課題/領域番号 19K12533
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分80010:地域研究関連
研究機関東洋大学

研究代表者

中村 香子  東洋大学, 国際学部, 教授 (60467420)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード家父長制 / 一夫多妻 / テーブルバンキング / 牧畜民の干ばつ対応 / シングルマザー / マイクロビジネス / ビーズ工芸 / みやげもの / コロナと観光収益 / 女性の教育 / 高学歴女性 / 女性のライフコースの変化 / 女性の家畜所有権 / マイクロクレジット / 年齢体系の変容 / アフリカ女性の地位 / 女性自助グループ / 女性のライフコース / 長老制社会
研究開始時の研究の概要

本研究は、ケニアに居住するマサイ系牧畜民サンブルの社会において、急激に活発化している女性自助グループの活動に注目する。女性自助グループの設立の経緯や活動内容の事例を収集し、グループのメンバーひとりひとりの背景を多角的に検討しながら、どのような女性が何を目指して自助グループに参加し、どんな活動をおこない、何を達成してきたのかを解明する。これにより、サンブルのような典型的に「ジェンダー不平等」が社会・文化の構造に強固に埋め込まれている社会において、女性自助グループの活動は、ジェンダー役割にいかなる影響を与えうるのかという問いの解明を目指す。

研究実績の概要

本研究は、一夫多妻の家父長制のもとで性別と年齢に基づく徹底した分業体制によって牧畜業を行い、「年齢体系(age system)」とよばれるシステムによって、政治・経済・宗教のあらゆる権限を年長男性に集中させてきたケニアの牧畜民サンブルの社会を対象として、ジェンダー役割の変化の動態を明らかにする目的で実施している。本研究では、この動態の解明のために、女性への教育普及や職業選択に関する調査とともに、比較的学歴が低い女性、あるいは、学校に通った経験をもたない女性たちが組織して活動している「女性グループ」に着目することを特徴としている。2020年度から2021年度は、オンラインによる調査を実施して調査地で活動している女性グループのおおまかなデータを収集をして研究をすすめ、2022年度は、現地調査による具体的な活動を見聞した。2021~2022年度は、調査地は過去50年に経験したことのない厳しい干ばつに見舞われており、多くの人びとの生活基盤である家畜群が著しく縮小し、ウクライナ危機による物価の上昇によって、人びとの生活は困
窮の一途をたどっていた。このようななか、地道に小規模な活動を重ねて、それぞれの資金を出し合って貯蓄(テーブルバンキング)することによって生活を支えることができた。こうした実績により、男性が女性グループの活動を肯定的に評価し始めていた。中には実際に加入する男性もあった。2023年の現地調査では、こうした実績によって、規模を拡大したグループと、資金繰りがうまくいかずに消失したグループの明暗が明らかになった。また、特定のメンバーが複数のグループに加入し、グループの優先順位づけをおこなっている実態も明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現地調査によるデータ収集を研究の基盤としている本研究課題において、2020-2021年度に現地調査を実施できなかったことは大きな遅れに結びついた。しかし2022年度、2023年度は、その間に実施したオンラインによるデータ収集と、それをフォローする形での現地調査、さらに、現地調査と現地調査の間にもオンラインによる継続調査も実施することができた。このため、遅れをある程度取り返すことができた。

今後の研究の推進方策

2023年度に取得したグループのメンバーシップの移動データを分析考察することで、女性グループが牧畜民の日常と干ばつなどの危機的状況の双方においてどのような役割を演じ、それがジェンダー役割の変容にいかに作用しているのかについて統合的な考察を進める。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (23件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 2019

すべて 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 図書 (10件)

  • [学会発表] アフリカにおける観光とジェンダー ――「苦境」の資源化と女性の社会的地位2024

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 学会等名
      観光学術学会シンポジウム「ジェンダーとツーリズム――多角的な視座の探究」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Positive and Negative Impacts of Community Conservancy: A Case Study of a Kenyan Pastoral Society2023

    • 著者名/発表者名
      Kyoko Nakamura
    • 学会等名
      Workshop on Tourism, Development and Conservation in Africa
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] コミュニティによる野生動物保護がもたらす観光便益と地域社会の混乱――ケニア牧畜社会の事例から2023

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 学会等名
      観光学術学会第12回大会テーマセッション:「アフリカ地域研究からみる少数民族観光:「プロジェクト型観光」に着目して」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ケニアの牧畜社会におけるガラスビーズの利用ーサンブルとポコットの首飾りを事例に2023

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 学会等名
      日本アフリカ学会第60回学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] さまざまな思いをこめてつくる―ケニア牧畜民サンブルのビーズの装身具2022

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 学会等名
      国立民族学博物館主催シンポジウム「ビーズからのメッセージ―つなぐ・かざる・みせる―」(於:松濤美術館)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 阿寒湖アイヌコタンの作り手とモノーハイブリディティから生み出されるオーセンティシティ2022

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 学会等名
      観光学術学会(奈良県立大学主催オンライン)・テーマセッション「日本における先住民族観光の可能性―阿寒湖アイヌの挑戦」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ガラスビーズとアフリカの人びと―ケニアの牧畜民サンブルの事例から2021

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 学会等名
      国立アイヌ民族博物館イベント みんぱくビーズ研究最前線
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 女子割礼・女性器切除のローカル社会における意味づけと廃絶運動に対する反応:ケニア・牧畜社会の事例から2021

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 学会等名
      大阪府立大学女性学研究センター主催2021年度男女共同参画事業「変わりゆくアフリカの身体加工と廃絶運動の現在女性器切除という慣習」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] グローバル・ディスコースとアフリカの女性器切除:ケニアの牧畜社会を事例に2021

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 学会等名
      津田塾大学学部多文化・国際協力学科「フィールドから学ぶ」シリーズ
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 「女性器切除(FGM/C)をめぐる新たなアイデンティティーの形成過程――ケニアの牧畜社会を事例に」2020

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 学会等名
      2020年度立教大学史学会大会シンポジウム「アフリカの若者の身体」(於:オンライン)
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 女子割礼(FC)・女性性器切除(FGM/C)と向き合う: <「文化」か?「暴力」か?>を越えて2020

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 学会等名
      津田塾大学学芸学部 多文化・国際協力学科 「フィールドから学ぶ」シリーズ講演会(於:オンライン)
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 「コミュニティ・コンサーバンシー」の設置がもたらすコミュニティの分断-ケニア牧畜社会の事例から2019

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 学会等名
      日本アフリカ学会第56回学術大会(於:京都精華大学)フォーラム:進行する「自然保護という名の土地収奪(green grab)」
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
  • [学会発表] Changes in local attitude toward FGM/C under the influence of global “zero tolerance” campaign: A case of a Kenyan pastoral people2019

    • 著者名/発表者名
      Kyoko NAKAMURA
    • 学会等名
      "Reconsidering FGM/C: Challenges from medical and anthropological perspectives"
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] 移動時代のツーリズム―動きゆく観光学2023

    • 著者名/発表者名
      神田孝治・遠藤英樹・高岡文章・鈴木涼太郎・松本健太郎(編)中村香子
    • 総ページ数
      226
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779517686
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] よくわかる観光コミュニケーション論2023

    • 著者名/発表者名
      須藤廣、遠藤英樹、高岡文章、松本健太郎(編)中村香子
    • 総ページ数
      244
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623091874
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2021 実施状況報告書
  • [図書] Female Genital Mutilation/Cutting: Global Zero Tolerance Policy and Diverse Responses from African and Asian Local Communitie, Kyoko Nakamura, Kaori Miyachi, Yukio Miyawaki, Makiko Toda (eds.)2023

    • 著者名/発表者名
      Kyoko Nakamura, Kaori Miyachi, Yukio Miyawaki, Makiko Toda et. al.
    • 総ページ数
      210
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      9811967229
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『アフリカ潜在力のカレイドスコープ』落合, 雄彦(編)2022

    • 著者名/発表者名
      中村香子他
    • 総ページ数
      239
    • 出版者
      晃洋書房
    • ISBN
      9784771036604
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] アイヌのビーズ2022

    • 著者名/発表者名
      池谷和信(編著)中村香子
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      平凡社
    • ISBN
      9784582838961
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] グローバル・ディスコースと女性の身体ーアフリカの女性器切除とローカル社会の多様性2021

    • 著者名/発表者名
      宮脇幸生・戸田真紀子・中村香子・宮地歌織(編著)中村香子
    • 総ページ数
      171
    • 出版者
      晃洋書房
    • ISBN
      9784771034785
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] グローバル・ディスコースと女性の身体ーアフリカの女性器切除とローカル社会の多様性(担当:共編者(共編著者), 範囲:「グローバル・ディスコースとアフリカの女性器切除」「<女子割礼・女性器切除>をめぐる多様性と柔軟性のエスノグラフィー」「ケニアにおけるFGM禁止法への異議申し立てと人びとの反応」)2021

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 総ページ数
      171
    • 出版者
      晃洋書房
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] 『生態人類学は挑む Session1 動く・集まる』(担当:分担執筆, 範囲:pp. 227-254 「『未婚』『非婚』そして『結婚』―サンブル女性の自律と出自集団への帰属」)2020

    • 著者名/発表者名
      中村香子
    • 総ページ数
      336
    • 出版者
      京都大学出版会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] People, Predicaments, and Potentials in Africa2020

    • 著者名/発表者名
      Kyoko Nakamura
    • 総ページ数
      296
    • 出版者
      Langaa RPCIG(担当:分担執筆, 範囲:pp. 15-34 "Local Recognition is Alienated from Global Discourse: Changes in Female Genital Mutilation/Cutting (FGM/C) in a Kenyan Pastoral Community")
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] 「ビーズでたどるホモ・サピエンス史-美の起源に迫る」(「東アフリカ牧畜社会の若者文化-ビーズにみる社会と文化の変容」)2020

    • 著者名/発表者名
      池谷和信、門脇誠二、河村好光、山本直人、木下尚子、田村朋美、遠藤仁、谷澤亜里、山花京子、末森薫、戸田美佳子、大塚和義、印東道子、後藤明、中村香子、野林厚志、齋藤玲子、中村真理絵
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812219270
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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