研究課題/領域番号 |
19K12541
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
鈴木 絢女 同志社大学, 法学部, 教授 (60610227)
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研究期間 (年度) |
2021-01-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | マレーシア政治 / フィリピン政治 / 財政 / 開発志向国家 / フィリピン / マレーシア / 東南アジア / 政治体制 / 政治変動 / エリート・セトルメント / 体制変動 / 政治エリート |
研究開始時の研究の概要 |
フィリピンとマレーシアを事例に、政治エリートの協調や分裂がどのように起こるか、そのようなエリート関係のダイナミクスが政治体制の持続や変動にどのように影響するかを明らかにする。本研究では、エリートの協調や分裂を引き起こす要因として、各国予算、政府系企業役員報酬、国外からの援助や投資といった国内外からのリソースの調達や分配に注目する。
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研究実績の概要 |
本研究では、フィリピンとマレーシアにおける国家財政が、おもに行政府の長と立法府の議員の間での「支持」と「レント」の取引としての性格を有するために財政規律が弛緩するという観点から、両国の予算(おもに歳出)および予算過程を分析する。 今年度は、コロナ禍に伴う渡航制限を背景として、2021年度にはじめたコロナ禍でのフィリピンとマレーシアの財政出動のパターンについて、データ収集を進めた。その結果、次のような知見を得た。まず、両国ともに低所得者層向けの手当を準備した点で共通していたものの、(1)フィリピンでは、雇用補償や補助金をはじめとする民間セクター支援がほとんど行われなかった一方で、マレーシアでは電力や通信費補助、雇用維持のための資金提供、債務返済モラトリアムなどの支援が活発に行われるという明確な違いが見られた。ただし、(2)マレーシアについては、連合政権の不安定化などが見られる時期に、民間団体などからの圧力を受けて財政支援のパターンが変化するという現象も見られた。 こうした国家の範囲(Scope)の違いや、国家の自律性(Autoronomy)の有無は、1990年代以降の開発志向国家研究のなかで主張されてきた各国の国家の性格の描写と一致しており、危機時においても歴史的な連続性が見られることが明らかになった。 以上の知見は、範囲が大きくまた自律性も高かったシンガポールの事例も加えて、3カ国の比較研究として学術論文にまとめている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
海外渡航制限もあり、アーカイバルワークは引き続きできなかった。これに加え、研究代表者の妊娠・出産に伴う体調不良もあり、十分な研究の進展を見ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、アーカイバルワークを再開する。また、「研究実績の概要」で述べた3カ国の比較については、早急に学術論文としてまとめ、刊行する。
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