研究課題/領域番号 |
19K12551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
杓谷 茂樹 公立小松大学, 国際文化交流学部, 教授 (90410654)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 古代マヤ文明 / 遺跡公園 / 「自然」の語り / マスツーリズム / (カギ括弧付きの)「自然」 / 「自然」の文化資源化 / ユカタン半島 / カンクン、リヴィエラマヤ観光圏 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、メキシコのカンクン、リヴィエラマヤ地域における遺跡観光や先住民村落観光などで意図的に「自然」を絡めた展示を行っている事例のほか、「エコツーリズム」、セノーテ観光などに関する現地調査、および資料の分析、文献の読み込みを行っていくことによって、本来保護され維持されていかなければならない自然が、カギ括弧つきの「自然」として観光客を喜ばせるためのアトラクションとして操作され、文化資源展示と絡める形で手軽な見世物になっているという、マスツーリズム状況下でしばしば見られる現象について考察を進める。これにより「自然」の文化資源化のプロセスを明らかにし、マスツーリズムの特質の一端を理解してゆく。
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研究実績の概要 |
令和4年8月及び令和5年3月にメキシコにおいて、遺跡公園や博物館における古代文明の展示のあり方にどういった自然観が関与させ られているかについての、観察、調査を実施した。 調査地は多数の観光客が訪れる観光地であり、令和2年の夏期以降しばらくは、それまでと比較して観光客の入れ込みのみならず、受け入れ側の動きも停滞気味であったため、継続的な調査と言うよりは、新たに観察をはじめるかたちになることがしばしばあった。キンタナ・ロー州のカリブ海沿岸地域において、高度に観光化されたトゥルム、エル・レイ、サン・ミゲリート、エル・メコなど有料公開されている 遺跡公園の観察のみならず、ホテルや別荘地、ゴルフ場などの敷地内にオブジェとして保存、展示されている無名の建造物などについても、できるだけ確認するように努め、観光資源化に伴う自然の改変の性格が強い場所ほど、建造物を自然と脈絡を切り離して展示している様子が観察できた。 ただ、この2年ほどの間に国家プロジェクトとして鉄道(Tren Maya)の建設が開始され、工事が非常に急ピッチで進められており、ユカタン半島の沿線地域では自然や文化遺産に大きな影響が出ている。当地の自然や文化遺産の保全には政府が巨額を投じて対策を進めており、その中では例えば、駅が置かれるチチェン・イツァ遺跡公園に博物館が新たに建設される予定であるなど、本計画の当初の目標も考え直さざるを得ないようなテーマが新たに生まれる可能性が出てきており、どのようにこの研究をまとめていくかを考える必要がある。。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カンクンやリヴィエラマヤ地域でホテル敷地内や別荘地、ゴルフ場などに取り込まれた小遺跡について、当初予定していなかったものまで確認を広げることができた一方、大企業が開発する形で作られた観光施設については結局見ることができていない。 一方で、現在調査地のあるユカタン半島では、この2年ほどの間にTren Mayaの建設工事が急ピッチで進められることで、自然や文化遺産に大きな影響が出ている。当地の自然や文化遺産の保全には政府が巨額を投じて対策を進めており、本計画の当初の目標も考え直さざるを得ない展開となっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年の夏季には、メキシコのユカタン半島東部地域でのTren Maya建設の進捗を観察しながら、工事による自然破壊が、どのように文化的な言説の中で正当化されていくかを観察するとともに、ベリーズにおいて、自然を文化遺産の展示にどのように関連づけているかについても観察して、これらを比較しながら本研究をまとめるようにしていきたい。
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