研究課題/領域番号 |
19K12572
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
藤村 健一 福岡大学, 人文学部, 准教授 (00469181)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 世界遺産 / 文化遺産 / 天皇陵 / 古墳 / 聖域 / 文化財 / 観光地 / 地域や国の誇り / 国や地域の誇り / 世界文化遺産 |
研究開始時の研究の概要 |
大阪府の百舌鳥・古市古墳群は、早ければ2019年にもユネスコにより世界文化遺産に登録される見込みである。ただし同古墳群には、仁徳天皇陵や応神天皇陵など6基の天皇陵古墳が含まれている。これらは現在、皇室の祖先の墓として宮内庁が管理し、祭祀が行われている。 本研究は、これら6基の天皇陵古墳を対象として、これらに付与された意味を、それに関わる人々の言説や行動の分析を通して明らかにする。
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研究実績の概要 |
2019年に世界遺産に登録された百舌鳥・古市古墳群には、仁徳天皇陵をはじめとした6基の天皇陵古墳が含まれる。本研究はこれらの天皇陵古墳に付与された意味を、関係する人々の言説や行動の分析を通して明らかにし、付与された意味の相互矛盾やこれに起因する摩擦について考える。 これに関わる人々は、おおむね(a)宮内庁・皇室・神道界の関係者や皇室崇敬者、天皇陵巡拝者、(b)歴史学・考古学研究者や考古学ファン、(c)地元経済界・観光業界の関係者や観光客・古墳ファン、(d)地元の自治体や市民ボランティアの4つに大別できる。天皇陵古墳に対して(a)の人々は「聖域」、(b)の人々は「文化財」、(c)の人々は「観光地」、(d)の人々は「地域や国の誇りである世界遺産」と意味づける傾向にある。 しかし同古墳群の天皇陵古墳への訪問者がどのような目的で訪れ、どのような意味づけを行っているかは明らかでない。そこで2022年度に、仁徳天皇陵古墳を訪れた人々に対して、訪問理由や同古墳へのイメージ、呼称、拝礼の有無などを尋ねるアンケート調査を実施し、2023年度にその調査結果を発表した。 仁徳天皇陵古墳のイメージとして「天皇陵(仁徳天皇のお墓)」、「古墳・文化財」、「世界遺産」、「地域のシンボル」の4つを挙げた人が大半を占め、「観光地」を挙げた人は非常に少なかった。堺市在住の訪問者のうち、イメージとして「地域のシンボル」を挙げた人は3割近くに達した。 歴史学界(考古学界)では仁徳天皇陵の治定が疑問視されているが、仁徳天皇陵古墳を「歴史への興味」で訪問した人の約3分の1が「天皇陵(仁徳天皇のお墓)」と答えた。訪問者の間では、歴史学界で用いられている呼称(大山古墳、大仙陵古墳)よりも、仁徳天皇の名を冠した呼称(仁徳天皇陵、仁徳天皇陵古墳)のほうが浸透している。仁徳天皇陵古墳の訪問者の半数が拝礼を行っていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、前年度に実施したアンケート調査を分析した。その結果を学会大会において口頭で発表し、学術雑誌において論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間の再延長を申請し、これが承認されたたため、2024年度が最終年度となる。2024年度は本研究の総括として、百舌鳥・古市古墳群の天皇陵古墳に対する様々な意味づけと葛藤についてまとめた論文を執筆したいと考えている。
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