研究課題/領域番号 |
19K12592
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
村瀬 慶紀 常葉大学, 経営学部, 准教授 (70624386)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ホスピタリティ産業 / 知識移転 / 暗黙知 / 吸収能力 / 能力ベースの信頼関係 / 人的サービス / 組織の社会化 / ゲートキーパー / 紐帯の強弱 / モチベーション / イノベーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ホスピタリティ産業における知識移転について、①知識の送り手(本国)と受け手(現地国)の関係性、②知識移転促進のための変数抽出、③知識定着のためのプロセスの3点について解明することが最終目標である。 知識提供者に関しては、本社が調査対象となるために、ホスピタリティ産業の本社経営者またはそれに代わる方に対して、インタビュー調査を行う。 知識獲得者に関しては、海外進出先国の経営者、さらにはサービスを実践している現地従業員対するインタビュー調査、アンケート調査で明らかにする。 現段階においては、主に日本企業を研究対象とし、東アジアや東南アジアを調査対象先として計画している。
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研究実績の概要 |
本研究は、ホスピタリティ産業(日本のホテル及び外食産業を想定)を対象に、海外進出先国における知識移転を促進するための要因を抽出することであった。 2022年度は知識の送り手と受け手の関係に着目しながら、産業心理学の視点から、研究のフレームワークを構築することであった。具体的には、両者(本研究では、上司及び部下の関係性を想定)の関係性の強弱(tie strength)を示す「コミュニケーションの頻度」(frequency of communication)や「信頼性」(trustiness)との関連性に焦点を当てたとき、Mayer, Davis & Schoorman(1995)やLevin & Cross(2004)らが明らかにした、「コミュニケーションと頻度」と「能力に対する信頼性」(competence-based trust)が正の相関関係を示した成果を当該産業の従業員を対象に適用し、さらに議論を拡張することが目的であった。 本年度の研究で得られた知見として、これまでの先行研究は、知識の受け手[部下]が送り手[上司]に対してどのような存在であると知覚しているのか、という前提に基づいている。一方で、Burke et al.(2007)が指摘しているとおり、知識の送り手の個人的傾向や組織に対する知覚(例えば職務満足)による影響を考慮しなければならないともいえる。 したがって、フレームワークにおいては、知識の受け手におけるコミットメント、成長、満足感等を考慮したものを構築していかなければならない。これらの点を考慮することによって、知識の送り手と受け手の関係性がより明確になり、知識移転のメカニズムを解明することにつながることが期待される。次年度は、この解明に向けて取り組んでいきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、2021年度において未達成であったアンケート調査やインタビュー調査による実態調査まで行うことを計画していたが、依然として新型コロナウィルスの影響(特に先方の事情で)で海外渡航が出来なかった。一方で、調査協力してくださる企業(主にホテル業)を本部の経営・管理者や現地の総支配人の方を通じて、複数社にわたって開拓することができた。現在は、国際郵便等で実態調査を行えないか、その可能性を検討している。 昨年度に続き、e-mail、ZoomやWebex等を用いたオンラインによるインタビュー調査等は可能であったため、調査協力に応じてくださる方と共に、調査に向けてどのように進めていくべきか、引き続き検討を重ねていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、本来ならば昨年度で事業終了であったが、上記の理由で進捗がやや遅れていることや、調査協力企業の開拓に目途がついたことから、1年延長を申請し認められた。 今後は、国際郵便等を活用して実態調査の実施に向けて取り組む予定である。また、構築された研究フレームワークを調査票として完成させる作業を行い、調査協力企業へのインタビュー調査やプレテストを通じてさらなる精緻化を図っていきたい。可能であれば、調査実施を終えてAPTA(Asia Pacific Tourism Association)等のアジア最高峰の学会で発表を行きたいと考えている。
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