研究課題/領域番号 |
19K12603
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
大橋 史恵 お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 准教授 (10570971)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 香港 / 女傭工会 / 中国系家事労働者 / 中国人家事労働者 / 外国人家事労働者 / 生活家電 / 洗濯機 / 月賦払い / 再生産領域 / ジェンダー / 家事労働者 / 媽姐 / 広東省 / フィリピン / 労働組合 / 金融領域 / グローバル・シティ / ケア / 再生産労働 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、香港社会において移住女性の再生産労働力がどのように配置されてきたかを、中国人家事労働者と外国籍家事労働者およびその雇用主を対象としたオーラル・ヒストリーの聞き取りから明らかにするものである。イギリス統治下での輸出志向工業化路線から、グローバル経済における金融・貿易サービスの中枢へと転換していくなかで、香港の社会経済秩序は、さまざまな移住女性を再生産領域に取り込んできた。異なるケアの担い手たち(移住女性)と受け手たち(雇用主)の「ケアの記憶」を通じて香港の再生産領域の変化をとらえ、 ジェンダーとグローバル化をめぐる研究領域に新たな知見を提示したい。
|
研究実績の概要 |
当初、本研究課題は2019年度から2021年度までの実施を計画しており、手法としても質的インタビュー調査に取り組むことを想定していた。しかし香港社会における民主化デモの高まりのなかで、研究協力を依頼していた方々の政治的立場が不安定化し、調査の実施が困難になった。さらに2020年度からは新型コロナウイルス新型コロナウイルス感染症拡大にともなって渡航制限が続き、インタビュー調査は断念せざるを得なくなった。研究課題としては資料調査に切り替えたが、当初の計画通りの進展が困難であったため、延長しながら研究に取り組むに至った。 この延長の甲斐あって、2023年度はようやく香港への渡航が容易になった。9月に香港中央図書館において資料調査を行い、『明報』など日本国内で入手することの出来ない貴重な新聞記事等を閲覧することができた。また日本国内でも立教大学のアーカイブを利用することができた。 このように資料調査に力を入れた結果、2023年度は本研究を大いに進展させることができた。また現代中国学会第 73 回全国学術大会共通論題「現代中国語圏におけるジェンダー規範の変遷」における招待報告をはじめとして、研究成果を公表する機会も得られた。そうした場では日本国内の香港研究者にもつながることができ、年度途中からは立教大学法学部の倉田徹先生主催の香港史研究会に加えていただいた。当該研究会では定期的に研究会に参加し、討議から多くの学びをいただいている。 このように前年度までと異なり、2023年度はより深く研究課題に取り組むことができた。一方で研究のネットワークを拡張することができたことで、本研究課題をもう1年延長し、よりしっかりとした成果を残したいと考えるに至った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定ではインタビュー調査を実施することを考えていたが、新型コロナウイルス感染症拡大の下で渡航制限が続いたために、香港で調査のためのネットワークを構築することができなかった。このため研究の手法を資料調査に切り替えた。この転換は非常に効果的で、香港をフィールドとした家事労働者研究の蓄積のなかでもこれまで明らかになってこなかった中国大陸出身の移住家事労働者の歴史についてかなり詳細を明らかにすることができた。とりわけ2023年度は香港現地での資料調査を実現できた。また日本国内でも香港研究者のネットワークにつながったことで貴重な資料を入手することができた。この結果、研究は概ね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度には引き続き、香港や日本国内の大学がもっているアーカイブを積極的に活用し、資料調査を進めたいと考えている。また2023年度に得られた香港研究者のネットワークのなかで討議を進めることで、本研究のブラッシュアップを行いたい。 さらに国際フェミニスト経済学会(International Association for Feminist Economics)で報告を行い、本研究の成果を国際的に還元することを目指したい。
|