研究課題/領域番号 |
19K12612
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
山口 理恵子 城西大学, 経営学部, 教授 (30509120)
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研究分担者 |
稲葉 佳奈子 成蹊大学, 文学部, 准教授 (70431666)
岡田 桂 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90386657)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | エンパワーメント / 「ジェンダー平等」政策 / グローバル・ガバナンス / スポーツ政策 / 女性の身体 / 女性スポーツ政策 / スポーツにおける女性活躍 / 女性スポーツ / 統治 / 政策言説 |
研究開始時の研究の概要 |
東京2020や女性活躍推進の動きと相まって、本邦においても女性スポーツ政策が本格化してきた。しかしその中身は、主としてメダリストを量産するための医科学的研究に重きが置かれ、女性がスポーツすることの意義やその意味は問われないまま、身体的にアクティブになることが推進されているように感じる。本研究では、「スポーツする権利」を根拠に推進される女性スポーツ政策が、「女性の地位向上」に論点を集約し、スポーツを通じた「女性のエンパワーメント」を掲げることによって何を見逃し、どのような身体の主流化につながっているのかについて検証する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、東京2020大会を振り返る書籍を出版するべく、数名の研究者で章を分担し、「ジェンダーとスポーツ組織」を担当した。その中で、東京大会が始まる直前に組織委員会会長の女性蔑視発言を契機として、日本のマスコミ(主に新聞)が「ジェンダー平等」と表記して報道する機会が増えたいっぽうで、国連や国際オリンピック委員会等のグローバルガバナンスが推進する「ジェンダー平等」政策が、「エンパワーメント」という言葉を使用しながら少女や女性のみを対象とするために、ジェンダーを構造的に捉える視点が欠如したまま施策だけが広がっていき、結局のところ「ジェンダーの問題」は「女性の問題」と認識されたまま、その解決の担い手も女性のみが想定されがちであることを指摘した。またそのことは、女性蔑視発言後の組織委員会が女性理事の割合を増やし、「ジェンダー平等推進チーム」なるものを立ち上げたこととも、グローバル・ガバナンスのあり方と関連するものであることについて言及した。このような「ジェンダー平等」施策のあり方は、日本のスポーツ組織において女性理事割合を増やすことの意義が十分に理解されていないこととも通底する。 別件で、成城大学のASEAN地域おけるジェンダー平等推進に関わる調査に参加させてもらう機会を得た。ASEAN諸国は、日本よりも各組織における女性役員の割合は高いが、日本や西洋諸国が考える「家父長制」の体制は維持したままであることがわかった。「ジェンダー平等」をどのように考えるか、引き続き考察していく必要性を感じている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数の著者が個々の事情を抱えており、当初の出版予定の時期よりも遅れている。また自分自身、所属する大学の学務が増えたことや、家庭の事情(介護問題)もあり、研究に向かう時間が減ってしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年が最終年度のため、これまで集めたデータや資料を再度整理し、集大成の発表を学会等で行いたい。スポーツにおけるジェンダー平等政策はグローバルな課題として扱われているため、国際的な発表の場において問題提起をおこなうとともに、今後に向けた意見交換を各国の研究者と行いたいと考えている。
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