研究課題/領域番号 |
19K12620
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
岡野 八代 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70319482)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ケアの倫理 / フェミニズム理論 / 相互依存 / 政治思想 / 脆弱性 / 民主主義 / ネオ・リベラリズム / ケア不足 / ケア労働 / フェミニスト経済学 / コロナウィルス・パンデミック / 民主主義論 / ネオリベラリズム / 公的規範 / フェミニズム |
研究開始時の研究の概要 |
「中絶」という一見すると個人的な問題、しかも女性のみが直接的に経験する葛藤の道徳的意義を見いだそうとして始まったケアの倫理のなかにこそ、現在のネオ・リベラリズムに対抗しうる理論的契機が存在しており、単なる社会的・外的現象としてではなく、ひとは内在的につねにすでに関係性のなかで生きている、というケアの倫理による人間観の提示こそが、非軍事的で、より民主主義的な社会をめざす可能性を拓いていることを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究の期間中、コロナ・パンデミックにみまわれた。そのなかで、歴史的に女性たちがになってきたケア労働が、社会生活を支えていること、にもかかわらずその評価が低いことに注目が集まった。本研究では、フェミニスト政治理論、フェミニスト経済学の知見を援用することで、なぜ、市場経済においてケア労働の評価・報酬が低いのか、そして、伝統的な哲学においても、他者の手を借りずには生存を維持することができない存在をケアすることが、人間的な実践だと認められてこなかったことを明らかにし、翻って、いかにケアすることが人間的な営みなのかを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究期間中、社会生活において不可欠なエッセンシャルワークとしてのケア労働、ケア実践とはどのような営みであるのかを、広く社会的に発信することができた。また、とくに日本社会において女性たちの地位が低い、政治的交渉力が弱く経済的にも脆弱であることの根幹には、ケアの社会的評価の低さがあり、またケア労働を女性たちが一手に引き受けていることが当然視されているという問題があることを明らかにした。学術的には、ケアの倫理を考察してきたフェミニスト理論は、伝統的な正義論が正義の射程に収めてこなかった不正や暴力を、不正義であると訴えてきたのだと位置づけることができた。
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