研究課題/領域番号 |
19K12622
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
大原関 一浩 西南学院大学, 国際文化学部, 准教授 (00749880)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 性管理 / 移住 / ジェンダー / オーストラリア / 北米 / アラスカ / ハワイ / からゆきさん / 売買春 |
研究開始時の研究の概要 |
明治・大正期、中国や東南アジアに渡航し売春に従事した「からゆきさん」については注目されてきたが、英語圏の諸外国に渡航した「からゆきさん」についての研究は進んでおらず、未だ解明されていない点が多い。本研究では、アングロアメリカ系が政治的に支配的な勢力を持った太平洋の諸地域―カナダ・アメリカ合衆国・ハワイ・オーストラリア・アラスカ―における性管理のあり方と日本人売買春の実態について検討を行う。そのために、これまで日本国内の研究では十分に利用されてこなかった海外現地における英語の公文書を収集・分析し、どのような論理と社会的状況下で日本人売買春が広まり管理されていたのか、その実態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、渡航規制および現地のウィルス感染状況のため、国内での文献の収集・購入と分析、合衆国のデータベースを利用した英語新聞記事の分析、を継続して行った。2022年9月7日から水際対策が緩和されたため、急きょアラスカ州ジュノー市へ出張し、州立公文書館(Alaska State Archives)で、アラスカ地区時代(1884~1912年)~準州時代(1912年~1910年代)の連邦地区裁判所(Federal District Court)の裁判記録、および現地警察の記録を閲覧した。後期の授業が始まっていたため、十分な滞在期間は取れなかったが、日本人売買春および周旋者に関する主な資料は閲覧・収集することができた。 今回の調査により、アラスカ地区(準州)時代の裁判所制度について理解が深まった。1884年にアラスカ地区が創設され、連邦地方裁判所が設立されたが、1899年までは、オレゴン州の法律に依拠してより犯罪行為が裁かれていた。裁判所の数が1903年に3つ、1909年に4つへと増え、より広範な地域に司法が行き届くようになる。これらの裁判記録は、国立公文書記録管理局(National Archives and Records Administration)のアラスカ支部に保管されていたが、2014年の閉鎖後、アラスカ州立公文書館へ移管された。こうした複雑な組織の改編、史料の移管過程を経て、裁判記録の保管・分類の方法も複雑になり、州立公文書館で目当ての記録を見つけるのに多大な時間を要する。しかし、過去に米国西海岸やハワイで行った裁判記録の調査経験から、日本人売買春に適用される連邦法の知識を得ていたので、それを手がかりに資料請求し、主な記録は閲覧することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アラスカ地区裁判所の記録で当該テーマに関する主な史料は閲覧・収集することができた。しかし、【研究実績の概要】で記述したように、アラスカ地区の記録は、収集することがとくに難しい史料であり、関連記録を網羅的に閲覧できたとは言えない。 2022年度は、所属大学で責任の重い役職を務め、語学授業の負担が増加したため、例年に比べて科研費研究に使える時間が大幅に限られた。春季休暇期間も、時期的な業務のほかに海外フィールドワーク引率が重なり、海外史料収集を実行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2023年度)は、海外での史料収集を行う。再度アラスカでの史料収集、オーストラリアでの史料収集を予定しているが、今回の調査のなかで、アラスカの日本人売買春がシアトルおよび北米各地に広がるネットワークの一部であったことが明らかになってきたので、合衆国内陸部の地域(モンタナ・アイダホ・ユタ・イリノイなど)の連邦地区裁判記録を収集するための出張も視野に入れ、検討の上行う。さらに、アラスカにおける日本人売買春に関する論文を執筆する。学会発表も積極的に行いたい。
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