研究課題
基盤研究(C)
液体に数体積%のナノ粒子を分散させたナノ流体は純液体に比べて熱伝導率が高いことが報告されており、その応用として熱交換機やエンジンのラジエータ、マイクロエレクトロニクス機器の性能の向上が期待されている。本研究ではナノ流体を構成する液体分子のダイナミクスを中性子・X線散乱により測定し、ナノ流体の熱伝導率や粘性率といったマクロな量を液体分子のミクロな運動から説明することを試みる。その結果、ナノ流体の熱伝導率を向上する機構が分子論的に明らかになり、高い熱伝導率ならびに低い粘性率を持つ高機能なナノ流体の設計指針を提案する。
イオン液体を始めとする種々の液体に数パーセントのナノ粒子を分散させたものはナノ流体と呼ばれ、新しい熱輸送媒体として注目されている。ナノ流体の高い熱伝導の原因をナノ流体を構成するベース液体の運動の観点から調べるため、X線・中性子散乱およびNMRを測定した。液体分子のダイナミクスを広い時間スケールで観測し、液体分子の並進運動や回転運動を明らかにした。ナノ粒子表面に存在する液体分子ではナノ粒子との相互作用で運動が遅くなっていることが明らかになった。これらの情報を用いると、ナノ流体の計算機シミュレーションの検証が可能であり、分子設計によってナノ流体の物性を制御することが可能になると思われる。
熱エネルギーの輸送は熱マネージメントにおいて重要であり、エネルギーの有効利用のためには高効率な熱輸送媒体の開発は必要不可欠となっている。ナノ流体は純液体に比べて熱伝導率が高いことが報告されており、新しい熱輸送媒体として期待されている。本研究では、ナノ流体を構成する液体のダイナミクスを幅広い時間スケールで観測した。その結果、ナノ粒子表面での液体分子はナノ粒子との相互作用で運動が遅くなっていることが明らかになった。分子間相互作用の観点から液体の構造や運動を調べることで、ナノ流体の物性の発現原理を明らかにし、物性の制御可能性を示した。
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