研究課題/領域番号 |
19K12653
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
木村 敦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員 (60465979)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | タンパク質 / 量子ビーム / 架橋 / メカニズム / 生体材料 / ナノ粒子 / ペプチド / 構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
量子ビーム架橋タンパク質ゲルは低毒性かつ耐熱性を有することから、再生医療・創薬における細胞の足場材料や、脳内にとどまらず迅速に腎排泄可能な新規MRI造影剤の母材に応用されている。一方で、量子ビーム照射量によりタンパク質ゲルの物性(保水性、大きさ、硬さ)を制御できるメカニズムは、いまだ明らかにされていない。本研究では、アミノ酸組成を調節したモデルタンパク質に量子ビームを照射し、作製したタンパク質ゲルを詳細に分析することで、量子ビームによるタンパク質の物性変化の要因を解き明かす。本研究成果により、先行する応用研究が進展し、再生医療・創薬分野の発展に量子ビーム照射技術が大きく寄与することができる。
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研究成果の概要 |
量子ビーム照射がタンパク質の1次構造及び高次構造に与える影響を定性・定量的に明らかにし、量子ビーム架橋タンパク質の物性(膨潤度、硬さ、粒径)変化の要因を解き明かすことを目的とする。タンパク質の一種であるゼラチンの放射線架橋反応におけるOHラジカルの寄与率が96%であったことから,ゼラチンの放射線架橋反応はOHラジカルにより支配的に起こっていることを明らかにした。また、量子ビーム架橋タンパク質ゲルのアミノ酸組成分析を詳細に行うことで、タンパク質に含まれる芳香族アミノ酸残基であるチロシン、フェニルアラニン、ヒスチジンが架橋部位になることを初めて定量的に明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
タンパク質の量子ビーム架橋メカニズムを定性・定量的に明らかにし、架橋タンパク質の物性(膨潤度、硬さ、粒径)変化の要因を初めて解明した。本研究で明らかにしたタンパク質の放射線架橋メカニズムに基づき、平均粒径5-20 nmを有する放射線架橋ゼラチンナノ粒子の作製に成功した。粒径を精密に制御したゼラチンナノゲルにGdを担持させ、MRI造影剤として腫瘍マウスへ投与した。直ちに腎臓に顕著なMRI信号上昇が観察され、投与2時間後には共に投与前の信号に近いレベルまで低下した。以上より、生体適合性の高いゼラチンを基材とした、脳内に入らず、体外排出の早い、より安全なMRI造影剤の作製に世界で初めて成功した。
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