研究課題/領域番号 |
19K12655
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
保井 晃 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, 主幹研究員 (40455291)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 光電子分光 / 磁性材料 / スピントロニクス / 硬X線光電子分光 / 磁気物性 / 放射光 / 磁場印加光電子分光 / 磁性多層膜 |
研究開始時の研究の概要 |
放射光を用いてスピントロニクスデバイス中における磁化、および、電子状態の深さ分布を解析できる、磁場印加条件下での硬X線光電子分光(HAXPES)計測技術の開発を行う。具体的な開発技術は、試料への磁場印加と試料付近からの漏洩磁場のキャンセリングを行う電磁石を備えた、小型の磁場印加システムである。従来、磁場影響下での光電子分光は、磁場により光電子が大きく曲げられ計測自体が困難であることから、積極的に実施されてこなかったが、光電子が高エネルギーであるHAXPESを用いて、この課題を解決する。本開発技術は、Co/Ru系の巨大磁気抵抗(GMR)素子などの次世代IT機器の開発研究の促進に寄与する。
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研究成果の概要 |
スピントロニクス材料の物性を決める磁性層近傍の電子・磁気状態を解析するための実験手法の確立を目指した。そのために、高輝度放射光を用いた可変磁場印加下での硬X線光電子分光(HAXPES)測定技術の開発を行った。Cr/Co多層膜に対して永久磁石による磁場印加HAXPES測定を試行し、200 mT印加下においてもHAXPES計測が可能であることを確認した。永久磁石および電磁石を用いた2種の可変磁場印加機構を製作した。どちらの機構も最大磁場は300 mTである。また、吸収端近傍でエネルギーを掃引しつつHAXPESスペクトルの磁気円二色性(MCD)測定を行う、共鳴MCD-HAXPES計測手法を確立した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
次世代IT機器の基盤となるスピントロニクス材料の研究は盛んに行われている現在でも、物性を決定する磁性層界面での電子・磁気状態の理解は進んでいない。この詳細を調べることが可能である、磁場印加下での光電子分光技術を開発した。磁場印加下での光電子分光は磁場の影響で光電子自体の検出が困難であるため、これまで殆ど実施されていなかった。しかしながら、光電子が高エネルギーである硬X線光電子分光を用いることで、200 mT磁場印加下においても光電子分光測定が可能であることを示した。本研究は次世代IT 機器の開発研究の促進に寄与すると期待する。
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