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近現代の沖縄における社会課題に起因する「バナキュラーデザイン」の発祥経緯と可能性

研究課題

研究課題/領域番号 19K12693
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分90010:デザイン学関連
研究機関神戸芸術工科大学

研究代表者

佐野 浩三  神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (50258175)

研究分担者 川井 広之 (かわいひろゆき)  神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (10341017)
ばんば まさえ  神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 研究員 (00249202)
吉田 尚美  神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 准教授 (90353044)
山本 忠宏  神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 准教授 (60441375)
長野 真紀  神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科, 教授 (10549679)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードバナキュラーデザイン / 社会課題 / デザインプロセス / 沖縄
研究開始時の研究の概要

本研究では、地域固有のアイデンティティを反映したデザイン事象を「バナキュラーデザイン」と仮称し、社会課題に起因する包括的なデザイン行為のプロセスを具体事例から分析することで、社会課題デザインの基礎資料の作成を目的とする。
沖縄地方は風土条件や伝統的な文化・慣習を色濃く保ちながら、社会的な課題に対して地域に密着した小規模な組織や個人が包括的に取り組む独創的で多様な実践事例が進行している。相互扶助や社会包摂、産業・就労創出、歴史文化の形象化などに係る特徴的な活動事例と社会情勢との関係を観察し読み解くことで、社会的技術としてのデザインプロセスの根幹となる当事者の思考経緯と役割を明らかにする。

研究実績の概要

本研究では、地域のアイデンティティを反映したデザイン事象を「バナキュラーデザイン」と仮称し、社会課題に起因する要因を以下の3区分に整理し、沖縄市地方を対象として調査分析を進めている。
A:生活・コミュニティ要因(自由経済下での生活基盤の確保・補完・維持に関連する事象) B:社会・経済要因(不利、限定的な状況からの事業・雇用・就労創出に関連する事象) C:歴史・文化要因(地域特性や文化の形象、保有技術の展開に関連する事象)
研究初年度より、首里城火災、新型コロナウイルス感染症等の影響により現地調査は中止や延期となり、2022年度までは対人調査は最小限に控え、沖縄以外での関連事例調査を実施した。
2023年度は感染症の制限は緩和されたが、沖縄の産業に影響が大きい観光については実務者の研究協力によって研究全体に関連する現状把握・前提条件の検証を進めた。Aの事例は、共同売店に倣った新たな展開として県外移住者による個人商店(マチヤグヮー)であるコミュニティショップの取り組みについての現地調査を実施した。また、共同売店を応援・紹介するプロジェクトの代表者から取り組みについての経緯や目的の聞き取り調査を行った。継続的に研究協力を依頼している「共同売店ファンクラブ」の代表者からは、最新の売店リストや近年の動向の情報提供を受け、現地調査の準備を整えた。Bの事例は、「一般社団法人 沖縄リサイクル運動市民の会」による「フェアトレードカカオ豆」に関するワークショップの見学や現状と課題、今後の展望について調査を行った。Cの事例は、沖縄を代表する工芸品の「首里織」を対象として、歴史調査、技術確認、後継者育成事業の取り組みについて調査を実施した。また、京都の相楽木綿等、他の地域と比較することで、沖縄における取り組みの独自性を検証した。
研究期間を延長し、沖縄での現地調査の再開とまとめに向けて基盤を整えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

根本的には、研究初年度より首里城火災、新型コロナウイルス感染症等の影響により現地調査が中止や延期、計画の変更を余儀なくされたことが影響している。また、2024年度運用開始の本学学部改組に伴い2023年度は教員の業務が多忙となり、必須のフィールドワークが充分に実施できなかったことが大きな要因である。研究分担者によって状況は異なり、本学研究員で研究時間を確保できた分担者は、当初予定していた担当分の研究は完了している。
全般的な文献や遠隔での調査、研究協力者との事前研究、追加事例の選出に関しては基礎情報が収集されているため、これまでに延期となっていた現地フィールドワークを下記の社会課題に起因する「バナキュラーデザイン」の三区分の事例毎に最終段階である複合化過程の三要因の具体的な事例照査・検証が残されている。
・「バナキュラーデザイン」に作用する要因の三区分 A:生活・コミュニティ要因 B:社会・経済要因 C:歴史・文化要因
・沖縄の「バナキュラーデザイン」の複合化過程の三要因 1:発現・創出の契機となった社会背景と当事者の動機的思考経緯  2:浸透拡張段階の社会情勢への対応・意味・価値の変化  3:定着・変容段階の社会的機能と構造分析
2023年度は感染症の制限は緩和されたが、どの研究対象区分・要因に対しても影響が大きい観光産業については状況が流動的で、研究のまとめ作業においても前提とする条件の再検討が必要である。実務者のあらたな研究協力によって現状把握や研究への影響の検討を進めている。具体的には首里城火災とコロナ禍の前後で、各研究対象の周辺環境が大きく変化している場合は、「バナキュラーデザインの複合化過程」の分析に係る当初の設定条件の検証が必須になる。時期的にはまだ不透明ではあるが、修正を検討しながら研究期間を延長して対応することとした。

今後の研究の推進方策

全般的な基礎調査は完了しているため、まず、どの分野においても影響が大きい沖縄地方の観光産業の「バナキュラーデザインの複合化過程」に関連する前提条件の再確認をすすめ、現地調査を集中的に実施する。研究協力者との事前研究、追加事例の選出に関しては基礎情報が収集されているため、本研究の最終段階である沖縄や関連地域での現地調査が中心的な研究となる。
A:生活・コミュニティ要因では、「共同売店」と地域の課題を反映した「マチヤグヮー(日用雑貨店)」による新たなコミュニティショップの展開や支援者の取り組みによる相互扶助・社会的包摂システムの新規事例を中心的な課題として進める。また、沖縄の小規模建築に大きな影響を与えた「米軍住宅」についても現地での調査を実施する。B:社会・経済要因では、「沖縄珈琲」、「オキナワカカオ」、「薬草・ハーブ」を事例とした 6次産業、小規模フェアトレード、産業創出の多元的な実践事例の調査と「琉球ガラス」を事例としたリサイクル資源活用、就労創出、産業として定着した地域色のある特産品の成立過程のまとめを実施する。C:歴史・文化要因では、「直書き看板」のステンシル技法事例、「花ブロック」などの歴史や気候条件に由来する融合文化の表象として視覚的、技術的特徴の分析と社会背景の現地調査を実施する。
なお、「C:歴史・文化要因・・・地域特性や文化の形象、保有技術の展開」において、テキスタイルアート、染色、伝統技法の専門的な視点から「織り・染色」を主とした伝統技術の再価値化・活用に関して予定していた研究は完了している。
上記の結果を社会課題に起因する「バナキュラーデザイン」に作用する要因の三区分と複合化過程の三要因の枠組みで照査・比較し、デザイン行為のプロセスをまとめる。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 家庭の織機で作る白絣の提案2022

    • 著者名/発表者名
      ばんばまさえ
    • 雑誌名

      アジアデザイン文化学会論文集

      巻: 第16-1巻 ページ: 183-190

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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