研究課題/領域番号 |
19K12702
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2020-2023) 帝京大学 (2019) |
研究代表者 |
宮田 洋輔 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (90568081)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 図書館情報学 / 計量書誌学 / 科学社会学 / ドメイン分析 / 文理融合 / 引用分析 / 学問形成 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究では,文理融合型の学問の形成の過程について分析する。学問の形成という大きな動きの中で,個別の論文を対象としてどのような変化のパターンが起こるかを明らかにする。具体的には,新たな学問が形成された期間に,学術雑誌に掲載された論文を分析し,引用関係や扱うトピック,著者のような学問における構造的変化を明らかにする。 一定の歴史を持った文理融合型の学問分野である図書館情報学分野を,分析の事例として用いる。本研究の結果は,現在生まれつつある文理融合型の学問領域が,確立した学問分野として受け入れられるようになるのかを考える上で重要な示唆を与えるだろう。
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研究実績の概要 |
今年度は,図書館情報学分野の研究における「破壊性」(disruptiveness)に着目して,通時的な分析を行った。破壊性とは,パラダイムシフトに代表されるように,変革的な研究の登場によって,それまでの知識の構造が破壊され,利用されなくなっていくことを意味している。Funk & Owen-Smith(2017)が,特許がもつ引用ネットワークを用いて,直感的に理解されていた破壊性を「破壊指数」(disruption index)として定式化した。彼らの研究以降,計量書誌学研究において破壊指数を用いた研究が盛んに行われていることを受けて,破壊指数を図書館情報学分野の研究に適用し,分野の変化について分析した。オープンな引用文献索引であるOpenAlex から,図書館情報学分野の主要雑誌6誌に掲載された論文の情報15,374件を取得し,収録された引用情報を用いて破壊指数を算出した。雑誌,年代,著者数の観点から,図書館情報学分野の研究における破壊性の傾向を分析し,1)破壊指数は全体として0付近に集中しており大きく外れた値はごく一部であること,2)雑誌による破壊指数の相違,3)先行研究での傾向と同様に,図書館情報学分野でも破壊指数は年代とともに下がり,次第に0付近に収束していること,4)著者数が少ない論文の方が,破壊指数が高い傾向,5)破壊指数の経時的変化と雑誌との関係を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
破壊指数を用いることで,図書館情報学分野の形成過程における「破壊性」の変化について明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
図書館情報学分野における主要雑誌以外のより広範な雑誌に掲載された論文のデータも合わせて取得しており,これらを加えて分析することで,図書館学と情報学の相違などより深い洞察が得ることが期待できる。また,トピック分析との組み合わせや,個別の論文や著者に対する分析,前年度に行った「描出」との関連の分析なども加えることで,学問分野の形成や成熟の過程をより詳細に明らかにできると考えている。
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