研究課題/領域番号 |
19K12704
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大場 博幸 日本大学, 文理学部, 教授 (80523787)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 公共図書館 / 新刊書籍市場 / 古書市場 / 図書館 / パネルデータ / 重回帰分析 |
研究開始時の研究の概要 |
図書館所蔵および貸出の新刊書籍市場への影響について検証する。2019年4月発行の一般書籍から層化抽出によって400~600タイトルを選んでサンプルとし、それらの全国小売書店での販売部数、全国公共図書館における月毎の所蔵数および貸出数のデータを得る。データの所得期間は、2019年5月から2021年10月の30ヶ月間とする。新刊の販売冊数を従属変数、図書館所蔵数および貸出数を独立変数とし、同時期の需要、価格、電子書籍版の有無、古書供給数などその他の変数を統制して重回帰分析にかけ、図書館の書籍市場への影響を測る。
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研究成果の概要 |
全国の公共図書館の所蔵または貸出によって、新刊書籍の売上部数が低下するか否かをパネルデータを用いて検証した。分析の結果、図書館による新刊市場へのマイナスの影響が示された。しかし、その影響の程度は大きくはない。欠測値の補正を行った場合の分析結果は、文庫と新書のサンプル群では、所蔵一冊の増加につき-0.11%の、貸出一冊の増加につき-0.12%の売上の低下を示した。欠測値補正を行った一般書籍サンプル群の場合、所蔵一冊の増加につき-0.10%、貸出一冊の増加につき-0.10%、新刊の売上部数が低下した。しかしながら、補正した欠測値の数は多く、真の影響の程度については再検討の余地がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2000年頃に始まった「無料貸本屋論争」以来ずっと、公共図書館が新刊書籍市場に及ぼすマイナスの影響について議論が交わされてきた。書籍市場全体の売上を用いた研究では図書館の影響を観察できなかったが、個別タイトルを用いた研究では影響が観察されることもあった。ただし、売上をどの程度低めるかについてはまだ合意がなかった。本研究によって、やはりマイナスの影響はあることが再確認され、同時に影響の程度は所蔵と貸出それぞれ一冊につき-1%以下で大きなものではないことが示された。新刊書籍市場と古書市場の関係の考察や、公共貸与権導入をめぐる議論にも参考にもなると考えられる。
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