研究課題/領域番号 |
19K12726
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
牛谷 智一 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (20400806)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 完全視交叉 / 空間的注意 / 比較認知 / 運動知覚 / 種間比較 / ハト / 資格情報処理 / 視覚情報処理 / 衝突事象 / 学習 / 空間認知 / 視覚的注意 / 鳥類 |
研究開始時の研究の概要 |
ハトは,頭部側面に眼があり,それぞれの情報が100%反対側の脳に投射されるため,「双頭の鷲」のように,左右を向いた別々の視覚システムが併存していると言える。本研究では,このような側方2システム併存に認知処理上どのような特性があるか,2つ課題で検討する。課題1では,左右両眼は各々独立した注意資源を持ち,複数の物体に注意を向けることができるか調べるため,複数物体追跡課題 (MOT課題) を利用する。課題2では,左右両眼が統一的なパノラマ視野を形成しているか,それともどちらか一方の視野を専ら用いているか,ゴール探索課題における視線方向を調べることで解明する。
|
研究成果の概要 |
頭部左右側面に眼があり,かつ完全視交叉であるハトの左右別々の視覚システムが,左右視野にまたがって運動する刺激をどのように処理するか調べた。衝突事象の実験では,互いに向かい合って運動して,中央で重なったあとは離反する多義的な運動について,ハトは通過したと報告する傾向があった。また,運動の開始時間の弁別では,ハトはこれを学習したが,開始時間差が小さくなると弁別精度が急速に低下した。このようにハトの左右の視覚システムからの入力は統合処理されているため,左右2システムの併存は,複数の物体に同時に注意を向けるような利点よりは,単に視野を広げる役割を果たしている可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は,使用した被験体であるハトに留まらず,頭部側面に眼のある動物がどのように視覚情報処理しているかについて示唆をもたらす重要な知見を提供した。捕食のある可能性の動物は視野を広げることで危険回避する確率を上げることができるが,複数の物体に同時に注意を向けるなど広い視野を補うような特殊な情報処理には,ハードウェアの進化に対する大きな利点がないのかも知れない。これは,運転サポートシステムなどの開発上,有益な視座を提供するものであろう。
|