研究課題/領域番号 |
19K12730
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
足立 幾磨 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (80543214)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 感覚間一致 / 感覚統合 / 言語進化 / 比較認知科学 / 系列処理 / 空間表象 / 時間知覚 / 言語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「感覚間一致」という現象を切り口に、ヒトの言語の進化的起源を探究する。感覚間一致とは、異なる処理ドメインを持つ情報間(特に視聴覚感覚間)に類似性・一致性を知覚することをさし、認知科学、進化心理学などの領域で、ヒトの言語の進化的・発達的な基盤の一つとして高い注目を浴びている現象である。本研究では、チンパンジーを主たる対象とし、かれらの感覚間一致を分析することで、ヒトの言語の進化的基盤を分析する。さらに、本研究では、個体レベルの認知研究から一歩すすめ、感覚間一致研究をある種の「社会実験」にまで拡張し、「共創的表象」の創発プロセスを明らかにする。
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研究成果の概要 |
チンパンジーを主たる被験体にもちい、かれらがどのような感覚間一致をもつかを探索的に分析した。具体的には、明度と音の高低、色と時間、順序と空間、年齢と空間、時間と空間の間の感覚間一致の研究を推進してきた。これまでのところ、明度と音の高さ、順序と空間の間にはヒト同様の感覚間一致が生じている一方で、年齢と空間、色と時間の感覚間一致については感覚間一致が認められなかった。つまり、時間軸を伴う感覚間一致は、チンパンジーには共有されていない可能性が示唆される。時間軸の知覚およびそれに付随する感覚間一致は、ヒトが言語を獲得することにより時間概念を拡張・表象する中で、生まれてきた可能性が示唆される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
1930 年代以来、類人猿の言語訓練を皮切りに、数多くの実験が動物の言語に関連する能力を調べてきた。本研究では、新たにラベル生成・理解、概念メタファーの進化的基盤として感覚間一致に着目し、比較認知科学的なアプローチをおこなった。こうした、新たなアプローチを施すことにより、感覚間一致に関して、ヒトとチンパンジーをはじめとするその他の種の間の相違点をあきらかにすることで、ヒトの言語の進化的基盤に対し、新たな知見を提供でき、認知科学、進化心理学、比較認知科学の研究分野に大きなインパクトを与えると期待される。
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