研究課題/領域番号 |
19K12731
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中道 正之 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 名誉教授 (60183886)
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研究分担者 |
瀧本 彩加 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (40726832)
山田 一憲 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 講師 (80506999)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ニホンザル / クロサイ / ホッキョクグマ / ウマ / 授乳 / 離乳 / 出会い / 別れ / 動物園 / 授乳行動 / 死体 / オスザルによる世話行動 / サル |
研究開始時の研究の概要 |
ニホンザルのメスはオトナになっても母ザルと親密な関係を保つ。だから、母ザルの死は娘が親しい個体を失う「別れ」である。群れで暮らすサルでもウマでも、メスが赤ん坊を産むと、母だけでなく群れの他個体にとっても新しい「出会い」である。動物園の展示動物が別の動物園に移動するとき、飼育場や同居の動物、飼育者との「別れ」と、新しい動物園での様々な「出会い」を経験する。本研究は、群れで暮らすニホンザルとウマ、動物園の展示動物を対象にして、「出会い」と「別れ」の場面での詳細な行動観察から、日常場面の観察だけでは見出すことのできない対象動物の豊かな心を明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
サル、ウマ、クロサイ、ホッキョクグマの同種個体との出会いと別れのプロセスを行動観察で記録した。母と子の出会いである出産から母から徐々に離れる期間である離乳期に、クロサイの母が他の有蹄類よりも寛容な授乳行動をすること、ホッキョクグマの母子の近接は双方が同等に関わって維持されていたのが、この生後10か月からは、子が主にその役割を担うことを明らかにした。牧場で暮らす母ウマが生後4,5か月の仔ウマから離れて暮らし始めたときや、ニホンザルの母ザルが持ち運んでいた赤ん坊の死体を亡くした時には、より頻繁な音声表出や移動行動をすることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多くの発達研究があるサル類とは異なり、クロサイとホッキョクグマでは授乳行動の発達変化、離乳プロセスなどの研究は皆無に近かった。本研究はこれら2種の授乳行動を定量的に明らかにした。特に、クロサイの授乳行動は他の有蹄類よりも、寛容であることを明らかにした。 牧場で暮らす母ウマが離乳期の仔ウマと離れて暮らすことになった直後、さらに、野生のニホンザルの母ザルが子を失ったり、持ち歩いていた死んだ子ザルの死体を失ったときに、音声表出や移動行動が一時的に増加することを初めて定量的に報告した。通常は隠された哺乳類各種の母の感情や行動の豊かさを、「出会い」や「別れ」場面を通して、本研究は描き出すことができた。
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