研究課題
基盤研究(C)
アルツハイマー病(AD)と前頭側頭型変性症(FTLD)では、初期の臨床症状として時間認知の障害に関連した症状が特徴的に生じることが知られている。しかしAD、FTLDの時間認知に関する研究は数少ない。本研究では、AD例、FTLD例、および健常高齢者の時間認知能力とその能力に関連する神経基盤を比較検討し、① 正常加齢と病的加齢の違い、② AD例とFTLD例の違い、を明らかにすることで、最終的には時間認知障害の背景にある認知的・神経学的基盤の解明を目指す。
アルツハイマー型認知症(AD)と前頭側頭型認知症(FTD)は、脳の異なる部位に萎縮が生じる神経変性疾患である。ADはエピソード記憶障害、FTDは言語障害や行動障害が前景に立つことをそれぞれ特徴とする。一方、両疾患とも初期の臨床症状として、時間認知に関連した障害が生じることが指摘されている。本研究は、ADとFTDの時間認知障害の特徴と、その背景にある神経基盤を明らかにすることを主な目的とするものである。また健康な高齢者をコントロールとして加えることで、認知症と非認知症の違いについても検討する。本研究の対象は、大阪大学医学部附属病院・神経科・精神科の認知症外来を受診するADおよびFTDの患者である。今年度は、ADとFTDの患者の後方視的データを用いて、時間に関連した記憶について予備的分析をおこなった。具体的には、両疾患の患者において、異なる種類の予定記憶課題の成績を比較した:①時間が関連する予定記憶課題(例:タイマーが鳴ったら特定の行動をおこなう)、②時間が関係しない予定記憶課題(例:特定の言葉を言われたら特定の行動をおこなう)。その際、両疾患で記憶障害の程度の影響を考慮して分析をおこなった。また上記と平行して、時間認知課題について、引き続き課題設定や刺激の調整をおこなった。次年度は時間認知課題を用いた行動実験を開始する。また患者データベースの中から対象者のリストアップを継続し、滞りなく研究が進むように配慮する。
3: やや遅れている
本研究に必要なADとFTDの患者数を確保するのに時間を要しているため。
引き続き、時間認知課題に修正を重ねて行動実験へと研究を進める。特に課題実施が可能なFTDの患者のリストアップ・リクルートを継続する。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 3件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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