研究課題/領域番号 |
19K12738
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
折笠 千登世 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20270671)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 養育行動 / メラニン凝集ホルモン / オキシトシン / 養育回路 / DREADD / オプトジェネティクス / γアミノ酪酸 / MCH / 社会行動 / Creリコンビナーゼ / 虐待 / ネグレクト |
研究開始時の研究の概要 |
養育行動は子の生存可能性を高める、動物の基本的な本能行動として位置づけられる。養育行動には、性差があり雌特有の行動と考えられている。我々は雄における養育行動が、社会性を反映する環境因子によって容易に促進されることを明らかにしている。雌も社会環境を変えることで仔に対する無視の行動が現れる。成熟後も環境変化に応じて現れるこれらの行動変化は、我々がこれまで明らかにしてきたような、性ステロイドによる不可逆的な脳神経系回路網による性分化という観点では説明することができないと考える。成熟期に達しても可塑性を示す養育行動の神経回路形成のメカニズムについて研究を推し進める。
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研究成果の概要 |
申請者は、マイクロアレイ法を用いて、養育行動に関連し社会的環境因子により変動する遺伝子を網羅解析し、視床下部外側野に発現するメラニン凝集ホルモン(MCH)の変動をみいだした。MCHニューロンにおいてtet-off システムを用い、神経特異的にノックアウトすることで仔の生存率は有意に減少し、養育行動は阻害され、養育行動との関連性を明らかにした。光遺伝学的手法 (オプトジェネティクス)によりMCHニューロンを光刺激し、オキシトシン(OXT)の分泌が引き起こされることによって養育行動が誘起され、雌雄マウスの養育行動に関連する神経回路として、MCHからOXTへの神経連絡が重要であることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
MCHニューロンからOXTニューロンへの神経回路を新たな養育回路として明らかし、MCHニューロンの脱落変性によって、養育行動抑制が引き起こされる事を明らかした。社会性行動においては、OXTの「信頼ホルモン・絆形成」ホルモンといった側面が提唱されている。MCHとOXTが養育回路を形成することが明らかになり、OXT作用のポジティブな側面を保証している一方で、MCH-OXT 神経の相互作用が、養育行動のスイッチングを担っており、攻撃や無視といった雌雄の行動抑制を誘起すると考えられる。これら、神経メカニズムを解明することは、ネグレクトや虐待を含むヒトの社会性行動をひもとくことにつながると考えられる。
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