研究課題/領域番号 |
19K12765
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
下權谷 祐児 日本大学, 工学部, 准教授 (30552575)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 脳動脈瘤 / 血流 / 血行力学 / 計算流体力学 / wall shear stress / 医療・福祉 / 生物・生体工学 / 流体工学 / シミュレーション工学 |
研究開始時の研究の概要 |
脳の血管がコブ状に大きく膨らむ病気,脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)は,循環器系における重要な血管病の一つであり,その破裂はクモ膜下出血の主な原因の一つである。本研究の目的は,脳動脈瘤がなぜ,どのように破裂するのか,どのような瘤が破裂しやすいのかを明らかにすることである。特に「血液の流れ」との関係に注目し,医療機関と協力しながら研究を進める。実際に脳動脈瘤を発症した患者のCT画像に基づき,実際の血管形状をコンピュータ上に再現し,その内部の血液の流れをコンピュータシミュレーションにより詳しく解析することで,「血液の流れ」と「脳動脈瘤の破裂」の関係を調べる。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は,脳動脈瘤の増大に関与する血行力学的因子を明らかにすることである。増大症例の増大前のCT画像データおよび非増大症例のCT画像データから作成した実形状モデルに対して血流の数値解析を行い,各種血行力学量を比較した。また,増大症例における増大前後の血行力学量についても比較を行った。その結果,瘤発生時と類似の「高い壁せん断応力+強い乱れ」が瘤増大時にneck領域に生じている可能性があることがわかった。また,瘤増大と破裂では血行力学的環境が全く異なるということを示唆する結果が得られた。血行力学的環境が切り替わるかどうかが「安定化する瘤」と「破裂へと移行する瘤」の分岐点である可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の最終的な目標は,脳動脈瘤破裂の危険因子を同定し,破裂リスクの新しい診断法の創出を通じて臨床に貢献することである。今回の研究により,瘤増大と破裂では血行力学的環境が全く異なるということを示唆する結果が得られた。血行力学的環境が切り替わるかどうかが「安定化する瘤」と「破裂へと移行する瘤」の分岐点(すなわち,環境が切り替わった時点が破裂リスクの高い状況)である可能性がある。今回の成果を足掛かりとして,血行力学的環境が切り替わる要因を明らかにすることが今後の課題である。それを明らかにし,脳動脈瘤破裂の血行力学的なリスク評価を行えるようになれば,新しい診断法の創出に繋がると期待される。
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