研究課題/領域番号 |
19K12767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
梅沢 栄三 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (50318359)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 拡散 / MRI / 機械学習 / グリンパティックシステム / 脳間質液流 / neurofluid / ベイズ推定 / 尖度 / 拡散強調MR画像法 / 深層学習 / diffusion MRI / glymphatic system / IVIM / q-space imaging / ISF flow |
研究開始時の研究の概要 |
近年、脳脊髄液、脳間質液の流れが注目されている。この流れは、脳における老廃物の除去と関連しており、アルツハイマー型認知症と関係があるアミロイドβは、これによって除去されていると考えられている。グリンパティック系はこのシステムの1つがであり、マウスに対して存在が確認されているが、ヒトでの確認は現在のところなされていない。 本研究では、非侵襲的な MRI の方法を新たに開発することによって、ヒトの脳におけるグリンパティック系の存在確認と性質の解明を行なう。特に睡眠中に老廃物の除去を行うとされる脳間質液流の経路と性質を解明する。
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研究実績の概要 |
脳でリンパ系と同様の役割をしていると考えられているグリンパティックシステムが議論されている。このシステムを構成する要素に脳間質液流があり、それを拡散強調 MR 画像(DWI)強度から検出することを試みている。 従来、水分子のコヒーレントな動き(揃った動き)は DWI 強度には影響しないといわれている。このことは1ボクセルがコヒーレント成分で占められている場合には正しいが、1ボクセル内にコヒーレントな動きと拡散などのランダムな非コヒーレントな動きが混在している場合には、コヒーレントな動きも DWI 強度に影響しうることを理論的に示した。この場合の DWI 信号強度の b 値(拡散強調の度合いを合わす装置パラメータ)依存性を示す式を考案し、これを DWI データにフィットすることでコヒーレントな動きに関する関するモデルパラメータを推定することを試みたが、これは高度な非線形問題になり、最小二乗法やベイズ推定では達成できなかった。このため人工ニューラルネットワーク(ANN)による推定を行う。この方法では、合成データを教師データとし、それで訓練した ANN でコヒーレントな動きに関するモデルパラメータを推定する。 2022年度はこの方法の確度・精度を調べる数値実験を行った。結果、コヒーレント流の方向・割合・速さを示す量について、不安定性はあるが正しい値が推定されていることが判り誤差も定量できた。 健常ボランティア脳をこの方法で解析した結果、コヒーレント流の方向として重力方向を示す部位が多くみられた。これは脳間質液流に重力が影響していることを示唆しており、 グリンパティックシステムの解明つながる結果である。まだ1名の脳に関する結果で今後詳しい検討が必要である。特に、MRI 撮像時の被験者体位を仰臥位から側臥位に変更することで重力が影響する可能性について明らかにできると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
主な実験施設である本学大学病院におけるボランティア撮像実験が新型コロナ感染拡大により実施しにくくなったこと、及び、当該研究以外の業務が増加したことが主な原因である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、本学教育病院で健常ボランテイアを対象に脳間質液流検出のための拡散 MRI 撮像実験を行い、提案法で解析する。特に、脳間質液流の流れ方向に重力が影響している可能性について調べるために、MRI 撮像時の被験者体位を仰臥位から側臥位に変更することを試みる。この変更により脳間質液流の方向が前後方向から左右方向にに変わる可能性がある。 また、飲酒時の酒酔い状態で脳間質液流がどのように変化するのかも実験する予定である。 さらに、パラメータ推定のための人工ニューラルネットワーク(ANN)の訓練を self supervised learning により行うことも検討する。この方法は、MRI 撮像プロトコルを変更した際に訓練をやり直す必要がない・教師データに含めるパラメータ範囲が推定結果に影響を及ぼす問題が解決する。機械学習における過学習が問題にならないという利点があり有望である。
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