研究課題/領域番号 |
19K12782
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
田村 篤敬 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (30394836)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 軽微な脳損傷 / 脳脊髄液漏出症 / 脊髄硬膜 / 二軸引張 / コンタクトスポーツ / 脳脊髄液減少症 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は髄液の漏出に伴う脳の下垂が脳組織と頭蓋底との直接的な接触をもたらし,痛みに繋がるのではないかと予想しており,本研究ではこの仮説の検証に挑む.具体的には脊髄硬膜の材料強度を力学実験で精確に把握するとともに,組織内の線維配向がその微視的な破壊プロセスに及ぼす影響を明らかにする.同時に計測データを反映した有限要素モデルを活用して流体(髄液)と構造(脊髄)の連成を考慮した傷害解析を行う.本研究は脳脊髄液減少症から軽微な脳損傷さらには重篤な頭部外傷に至る機序を初めて関連づけるものと言える.
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研究成果の概要 |
脳脊髄液漏出症は,中枢神経系である脳脊髄を保護する硬膜が何らかの外力によって破壊され,クモ膜下腔を満たす脳脊髄液がその外部へ漏れ出すことによって発生するものと予想されている.本研究では,数値解析に活用できる脊髄硬膜の基本的な力学特性を把握することを目的として,二軸引張試験装置の開発と力学実験に取り組んできた.その結果,低ひずみ域における脊髄硬膜の力学応答には顕著な異方性(ヤング率:軸方向 < 周方向)が認められ,生理的環境下における硬膜生来の柔らかさは,エラスチンの含有量と相関の高いことを見出した.さらに,高ひずみ域における力学応答にも軸方向と周方向の間には異方性のあることを明らかにした.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳脊髄液漏出症の受傷メカニズムは解明されておらず,有効な対策や効果的な治療法は未だ確立されていない.そのため,脳脊髄液漏出症の予防には依然として多くの課題が残されているのが現状である.しかしながら,人体有限要素モデルを活用し,現実の事故を忠実に模擬した衝突解析を実行することができれば,今まで原因不明とされてきた脊髄硬膜の損傷メカニズムを解明する糸口を掴めるのではないかと期待される.本研究で得られた成果は数値解析に直接応用可能であり,近い将来,脳脊髄液漏出症の受傷メカニズム解明に大いに寄与するものと考えられる.
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