研究課題
基盤研究(C)
がんの放射線治療において安全性を確保するには、第三者機関による客観的な安全性評価が必要である。その評価項目は放射線治療の高度化に伴い増大しており、第三者評価の提供側と受ける側双方の負担は増加しており、今後の安全確保には、評価手法の効率化や自動化が急務である。そこで本研究では、簡便な評価ツールセットを各参加施設に郵送し、各施設で測定結果をインターネット経由で提出し、データ解析が自動で行われるシステムの開発を行う。これにより、調査を受ける施設が直ちに評価結果をネット経由で閲覧できるだけでなく、多施設の結果分布の中での自施設の位置付けも閲覧でき、放射線治療の安全性に関する「見える化」が促進される。
本研究では、がんの放射線治療における重要な品質管理項目であるにも関わらず、全国的な第三者評価が行われていない2項目(治療計画における不均質補正及び画像誘導放射線治療の精度管理)に着目した。これら各項目の解決策を一本化し、これらを同時に評価可能な調査手法とクラウドベースシステムを開発した。開発したシステムは、開発した郵送調査用ファントムとウェブシステムから構成されている。解析に必要なデータは各施設の機器に関するテキストデータと郵送調査用ファントムの画像データのみであり、ウェブシステムでの自動解析が可能である。本研究成果により、ポストコロナ時代に対応したサステナブルな調査が可能となった。
本研究で開発した調査手法は、最も普及しているX線及び電子線による放射線治療だけでなく、陽子線、重粒子線、中性子線などの粒子線治療に応用可能である。その他、近年注目が集まっている適応放射線治療の精度管理にも応用できる。開発したシステムは、広島がん高精度放射線治療センターの技術支援ワーキンググループにて、国内初のウェブベースによる第三者評価として既に実用化されており、国内施設はもちろん、海外施設からも調査依頼が届いている。本研究成果より、第三者評価を提供する側及び受ける側、双方の負担軽減となり、世界中の放射線治療の安全普及につながることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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