研究課題/領域番号 |
19K12890
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
瀬島 吉裕 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (40584404)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ヒューマンロボットインタラクション / ヒューマンインタフェース / ノンバーバルコミュニケーション / 親近性 / 新奇性 / 協調設計 / 受容性 / コミュニケーション支援 / 感性ロボティクス / 信頼感 / 愛着 / 信号処理 / 親近感 / 身体性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ペットロボットへの親しみや安心感等を獲得・促進させる、いわゆる“懐に入り込む”仕組みを確立することを目指して、コミュニケーション時の無意識的な視線行動、中でも瞳孔反応に着目して、ユーザの瞳孔変動に応じて親しみや安心感等の親近性を強めるように瞳孔表現を行うコミュニケーションシステムを開発する。とくに、コミュニケーションの解析手法として有効な矛盾的誘導法を応用展開し、瞳孔反応と親近性との関係性を多面的に検討することで、親しみやすさという感覚的な度合いの客観指標化を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では,「(1)親近性促進モデルの開発」,「(2)親しみやすい瞳孔反応ペットロボットのコミュニケーションデザイン」を主要テーマとして進めている.本年度は,前年度に開発した新奇性を高める表現手法と,親近性を強化する表現手法を統合し,親しみやすいコミュニケーションデザインを確立するためのプロトタイプシステムの開発に取り組んだ. まず,親近性を強化する仕組みとして,カウンセリングにおける傾聴的態度を参考に,ミラーリング技法を瞳孔メディアに導入した.具体的には,話し手の発話音声に同調して,聞き手の瞳孔が拡大するロボットシステムを設計開発した.このシステムでは,これまでに開発してきた場の盛り上がり推定モデルを応用展開し,話し手の発話量の推定値に基づいて聞き手ロボットの瞳孔を拡大/縮小を実現している.聞き手の瞳孔が拡大することで,話し手は聞き手の興味が強まっていると感じ,積極的にかかわりを強める.また,推定値が一定で推移している状態に対して,新奇性を表現するハイライト表現を組み込むことで,親近性と親近性を統合したプロトタイプシステムを開発した.瞳孔を用いたミラーリング技法により親近性を増大させながら,ハイライト表現によって新奇性を高めて対話のメリハリが捉えやすくなるなど,かかわりを創出することができる.とくに,本システムにおける親近性と新奇性の表現法を入れ替える,あるいは推定値を変更することで,インタラクションへの矛盾を生起させることができる可能性を見出した.さらに,開発したシステムを研究室内の実験だけでなく,グランフロント大阪 The・Labにてデモ展示を行い,体験者の意見・コメントからシステムの有効性を確認した. さらに,この仕組みをペットロボットへ応用展開した瞳孔反応ペットロボットを開発し,自己開示に着目した評価実験により開発したペットロボットの有効性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,「(1)親近性促進モデルの開発」,「(2)親しみやすい瞳孔反応ペットロボットのコミュニケーションデザイン」の両テーマを統合した新たなペットロボットシステムを開発した.その成果として, 1)聞き手のミラーリング技法に着目した新たな親近性促進表現法を開発した. 2)これまでに開発した場の盛り上がりモデルを応用展開し,推定値に基づく親近性と新奇性を協調設計できるペットロボットシステムを開発した. 3)新奇性と親近性の表現法の入れ替え等を行うことで,インタラクションに矛盾を生起させる設計指針を得た. 4)開発したシステムを研究室内の学内実験だけでなく,グランフロント大阪 The・Labにてデモ展示を行い,多くの来場者からシステムを肯定する多くの意見・コメントを得た. が得られた.これらのことから,おおむね順調に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画として,基本的には当初の申請書通りに進める予定である.とくに,新奇性と親近性を協調させる,あるいは矛盾させることで,親近性を促進させる仕組みを解析する予定である.さらに,これまで開発してきたプロトタイプシステムの評価を行い,様々な実験により瞳孔や視線が親近性を促進する仕組みを検証する.
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