研究課題/領域番号 |
19K12924
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
永守 伸年 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 講師 (70781988)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 信頼 / 倫理学 / 哲学史 / 超越論的哲学 / 自律 / イマヌエル・カント |
研究開始時の研究の概要 |
「自律」とは何か。それはいかにして達成されるのか。この問いは、古代ギリシア以来の哲学的問題であり、また、現在の市民社会における実践的課題でもある。本研究は「信頼」概念に着目する独自のアプローチによって、以下のような仕方で新たに自律概念を捉えなおすことを目的とする。
(1)個人の能力ではなく、社会的に結ばれる「信頼」が自律を可能とすることを明らかにする。 (2)「信頼」を醸成するのは理性的な推論だけでなく、感情的な交流でもあることを提示する。
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研究成果の概要 |
「自律(autonomy)」とは何か。それはいかにして達成されるのか。近年、この問いに対する伝統的な回答、すなわち「自律とは理性的な個人の自己決定である」という回答に対して、さまざまな疑義が寄せられてきた。その背景には、従来の自律概念が前提としていた(a)個人主義的ないし(b)理性主義的な哲学的立場に対する批判があった。本研究はこれらの批判を深刻に受けとめ、「信頼(trust)」概念に着目する独自のアプローチによって、(a')個人の能力ではなく、社会的に結ばれる「信頼」が自律を可能とすること、そして(b')「信頼」を醸成するのは理性的な推論だけでなく、感情的な交流でもあることを提示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は従来の自律モデルの批判、そして関係的自律の概念化という現代倫理学の課題に対して、「信頼」に注目する点に独自性がある。それは「信頼」をめぐる経験科学の最新の知見を援用しつつ、「自律」という哲学の根本問題に応答しようとする試みである。また、本研究は信頼を感情的態度として解釈することで、諸個人の感情的交流の観点から社会秩序の創出を説明する。それは「合意」や「討議」に基づく理性主義的伝統に対して、「共感」や「楽観」をめぐる感情主義的伝統を再評価するものである。
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