研究課題/領域番号 |
19K12925
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 宮崎公立大学 |
研究代表者 |
川瀬 和也 宮崎公立大学, 人文学部, 准教授 (90738022)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 行為者性 / ヘーゲル / 自律性 / 行為の哲学 / 階層説 / 疎外 / 精神現象学 / 人格的自律 / アイデンティティ / 関係的自律 / 自律 / 真正性 / 教養 / 人格の同一性 / 実践的アイデンティティ / 意図 / 承認 / プラグマティズム / 相互承認 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、行為者性の一人称的側面と関係的側面の双方を調停し、統一的な行為者性の概念を構築することである。これら両側面に関する研究を総合することで、行為の哲学はもちろん、倫理学、政治哲学に新たな展開をもたらす。この目的を達成するために、(1)行為者性をめぐる現代の議論状況を整理した上でその問題点を検討する現代哲学的アプローチ(2)ヘーゲル実践哲学についての文献の正確な読解の上に立った哲学史的アプローチの二つの面から、並行して研究を遂行していく予定である。
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研究成果の概要 |
本研究課題においては、ヘーゲル哲学と現代の行為の哲学の両面から、行為者性の理論を構築に寄与することをめざした。 ヘーゲル哲学研究の面では、『精神現象学』における教養論・疎外論に、現代の自律的行為者の理論とつながる側面が見出せると示したことが最大の成果である。これに加えて、ロバート・ブランダムの推論主義的なヘーゲル解釈における相互承認の役割を解明した。 現代行為論研究の面からは、行為者性の理論が自律性の理論と深く結びついていることを明らかにした。自律論のうち、特に影響力の大きい階層説の代表的な理論について、その問題点を指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本の哲学研究においては、20世紀後半に展開されたドナルド・デイヴィドソンやエリザベス・アンスコムらの行為の哲学が盛んに研究されてきたが、2000年代以降に大きく発展した自律を中心とする哲学研究については受容が遅れていた。本研究は、自律論に基づく行為者性の理論を検討することで、日本における行為者性の理論受容に貢献した。 また、ヘーゲルの疎外論は国際的にみても、単なる行為者性の欠如とみなされる傾向があった。本研究は疎外が自律にとって不可欠な要素を含むことを指摘し、国際的なヘーゲル研究の発展に貢献した。
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