研究課題/領域番号 |
19K12938
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
蝶名林 亮 創価大学, 文学部, 准教授 (10802184)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | メタ倫理学 / 自然主義 / 規範性 / 道徳的説明 / 道徳的実在論 / 局所主義 / 比較政治学 / 暴露論証 / 非自然主義 / 直観主義 / 道徳認識論 / 欲求 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、自然主義的道徳的実在論(自然主義)と呼ばれる倫理学を経験科学と類似的に考える立場に立ち、この立場が道徳が特有に持つとされる規範性をどのように説明することができるのか、検討する。具体的には、「幼児虐待は悪だ」などの道徳的判断によって表現される道徳の規範性は、何らかの形で、われわれが持つ欲求に関する事実によって説明できるとする近年の自然主義的な諸説を検討し、それが自然主義に対して向けられてきた様々な疑義にこたえ得るか、見定める。
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研究成果の概要 |
本研究では自然主義の理論的枠組みの中で道徳の規範性に関する説得的な説明を示すことができるのか、との問いを掲げ、次の二点の擁護を試みた。①自然主義は、非自然主義者などの反対者によってその実在が疑われるような仕方でしか説明されない道徳の規範性について、より説得力のある実質的な説明を与えることに成功する考えであり、その意味で、他のメタ倫理説よりも理論的に優位な地位にある。②そのような形で明確にされた道徳の規範性が、われわれが偶然に持つ選好などに依存することなく、全ての人に課せられていることを、自然主義は成功裡に説明することができる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究ではこれまでメタ倫理学においてなされてきた自然主義的な提案を検討し、その現状を確認した。その上で、道徳的説明に訴える伝統的な自然主義的な手法の重要さを再確認し、道徳的説明を関連する経験的知見に訴えてより強固に擁護するという「局所主義的な道徳的説明の擁護」という研究手法の着想を得るに至った。この手法はこれまで(自然主義的な提案でありながら)思弁的なものに留まる傾向性のあったメタ倫理学上の自然主義をより自然主義的な説へと向かわせるものである一方で、比較政治学などこれまであまり哲学との接点が指摘されてこなかった分野との横断的な研究をより加速させる可能性を包含するものである。
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