研究課題/領域番号 |
19K12943
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
田鍋 良臣 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 准教授 (90760033)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ハイデッガー / 黒ノート / イデア / フィロン / レイシズム / 反ユダヤ主義 / トラヴニー / フッサール / ユダヤ教 / 作為性 / 存在棄却 / 存在史 / 形而上学 / イエス / 前キリスト教的なもの |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現在「反ユダヤ主義」とみなされているハイデッガーの遺稿「黒ノート」のユダヤ(教)に関する批判的な文言を分析することで、それが本質的には歴史的な背景をもった形而上学批判であり、必ずしも反ユダヤ主義に限定されるものではないことを明らかにする。そのうえで、「黒ノート」に記されたユダヤ(‐キリスト教)の神やイエスをめぐる思想を形而上学批判の観点から検討することにより、ハイデッガーの思索のうちに、ユダヤ教の信仰経験を形而上学的な規定から解放し、擁護する宗教哲学的な可能性を探究する。
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研究成果の概要 |
本研究ではまず、フィロンに関するハイデッガーの言及を手がかりに、いわゆる「存在史的な」思索におけるユダヤ教と形而上学との関係を解明することに取り組んだ。さらに、ユダヤ教をめぐる「黒ノート」の批判的な文言を形而上学批判の観点から分析するなかで、フッサールに対するハイデッガーの「攻撃」を「存在史的反ユダヤ主義」として非難するトラヴニーの見解が、妥当性を欠いたものであることが明らかになった。本研究の成果は、「黒ノート」をめぐる現在の研究状況を見直すきっかけになるだろう。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義は、ハイデッガーが、ユダヤ教と形而上学との関係をどのように見ていたのかを明らかにした点にある。これまで十分に検討されてこなかったこの問題は、「黒ノート」におけるユダヤ批判の内実を、ハイデッガーの思索に即して検討するうえで有効な手がかりとなる。さらに本研究は、トラヴニーが主張するいわゆる「存在史的反ユダヤ主義」の議論に、重大な問題があることを明らかにした。本研究の成果は、国際的に物議を醸している「ハイデッガー・アフェア」について、改めて考えるきっかけになるだろう。
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