研究課題/領域番号 |
19K12946
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松村 幸彦 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (70803071)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ヘーヴァジュラタントラ / 聖者流 / 究竟次第 / 念誦 / ヘーヴァジュラ系 / ヘーヴァジュラ / 清浄光明 / 三智 / パンチャクラマ / サロールハヴァジュラ / 自加持 / へーヴァジュラ / アーリヤデーヴァ / 観想法 / アヌッタラサンディ / 五次第 / 密教儀礼 / シャーキャミトラ / 儀礼 |
研究開始時の研究の概要 |
インドにおける密教聖典の形成と流派形成史とが密接に繋がっていることは、研究者の間ではよく知られている。しかしながら、従来の研究では両者の関係を精査する際にインドのヨーガ・ヨーギニーという区分に由来する父タントラ・母タントラというチベットの聖典分類法が充分な文献学的調査が行われないまま無批判に用いられてきた。本研究はこうした状況を打開するため、まずは聖典間における相互・並行関係を明らかにする上で不可欠な、聖典を超えた流派間の相承関係に着目する。特に究竟次第を採り上げ、父タントラ系聖者流と母タントラのへーヴァジュラ系観想法の構造を解析・比較し、インド密教の形成過程における新たな視座を提供する。
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研究成果の概要 |
本研究では、まずはシャーキャミトラ著『アヌッタラサンディ』の再校訂と訳注作業を行った。次にそれらを用いながら同テキストを始めとする父タントラ系聖者流の究竟次第とサロールハヴァジュラ著『ヘーヴァジュラサーダノーパーイカー』やスラタヴァジュラ著『ヴァジュラプラディーパー』を始めとする母タントラ系統のヘーヴァジュラ系究竟次第の内容解析を行い、それらを比較した。究竟次第的観想法の内容としては「念誦」と「清浄光明」に着目し、それらの儀礼に見られる聖者流とヘーヴァジュラ系共通の内容を明らかにし、ヘーヴァジュラ系が時代を経るに従って聖者流の実践や解釈を取り入れてきた可能性を指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の研究では、父タントラ系と母タントラ系の関係について言及するものはあったものの、両系統は別個に研究されることが殆どであり、特に聖者流に関しては空の思想に基づくことから父タントラ的として述べられることが多かった。近年、聖者流の実践にも母タントラ系のものが見られることが指摘されることがあったが、ヘーヴァジュラ系と聖者流の影響関係に着目し、その中でも観想法に焦点を当てた研究はなかった。そこで、本研究で行った聖者流とヘーヴァジュラ系の究竟次第を解析・比較することで得られた成果はインド密教の歴史的展開に関して今までにない視点による有益な知見を提供することが出来、十分に意義のあるものである。
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