研究課題/領域番号 |
19K12957
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
冬月 律 麗澤大学, 外国語学部, 講師 (70726950)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 不活動神社 / 準不活動神社 / 人口減少社会 / 宗教文化 / 過疎地域 / 地域研究 / 高齢化社会 / 過疎地神社 / 限界集落 / 実態調査 / 地域文化 / 過疎化 / 宗教社会学 / 不活動宗教法人 / 氏子調査 |
研究開始時の研究の概要 |
過疎地域の神社は、戦後の社会構造の変化によって次第に衰退し、人口減少や高齢化が進み、行き着くところは「不活動神社」(不活動法人)であると考えられている。しかし、近年、実際の過疎地域における神社の現状は多様であり、理論的立場を中心とした議論では神社神道の衰退の様相を捉えにくいとの報告があり、実証的な調査研究に基づく議論の必要性が指摘されている。本研究では、相当数の不活動神社の存在が予想される高知県と新潟県の過疎地域における神社の社会的機能を、不活動神社と準不活動神社の概念を通して把握し、それらの神社が地域社会の精神文化に及ぼす影響を宗教社会学的に明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
昨年度(2021年度)に引き続き、今年度も計画していた調査研究のうち、実地調査についてはコロナ禍の影響によって計画通りに実施することができなかった。したがって、可能な範囲で関連学会や研究会等で中間報告を行ない、今後の計画及び次年度の成果発表などを検討した。 具体的には、現地調査については、未だよそ者の現地入りに対する抵抗があり、調査対象地である高知県については昨年度末に仁淀川町の地域の宮司と氏子を対象に実施したアンケート調査結果の集計と分析に取り組んだ。アンケート調査の結果、調査地域における神社の実態や神社に対する氏子意識において、部分的な地域差を除き、目立った差異が見られなかった。そのことから祭祀体系が集落の祭祀集団(実質氏子)を軸とする独自の構造をもって維持継承されており、大きな構造的な変化はしていないことを示唆した。他方で、自由記述の回答では、神社・氏子の高齢化、健康状態、後継者不在等によって、神社維持が限界に達していることも確認されたことから、神社の隆盛と衰退は地域のそれと直接に影響し合う関係であることを指摘した。 本研究におけるもう一つの対象地域である新潟県においては、昨年度に引き続き現地調査の可能な神社の概況をはじめ、県下の小規模神社や不活動神社の現況と対策などに関する情報収集を進めた。 以上のように、コロナ禍の影響により文献・資料収集を中心としていた状況が改善され、部分的ではあるが高知県では人口減少と高齢化が激しい地域を対象にヒアリング調査を実施することができた。また、新潟県でも同様の地域神社を対象にした調査可能性が高まった状況になってきたことから、次年度にはそれらの調査結果の分析を行なうほか、最終報告書の作成および関連学会や研究会での発表も進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年度と同様、今年度もコロナ禍のため、計画通りの調査研究(とくに現地調査)を実施することができなかった。やむを得ず、昨年度に続きさらに1年間の継続研究を申請した。本年9月に、これまでの中間報告として、日本宗教学会第81回学術大会(開催校愛知学院大学、オンライン開催)にて研究発表を行なった(『宗教研究』第96巻別冊、2023年所収)。また、所属機関での年次学術大会(9月)においても成果の一部を中心とした研究発表を行なった。また、これまでの調査で得られた知見に加え、昨年度高知県の仁淀川町の神社と地域住民を対象に実施したアンケート分析を論文としてまとめ、所属学会の学術誌『神道宗教』に投稿することができた。 今年度は、最終年度にあたり、報告書作成に向けてこれまで収集・分析した資料のまとめのほか、対象地域である高知県と新潟県については必要に応じて追加調査等を実施予定である。とくに、新潟県においては昨年度実施できなかったヒアリングまたは現地調査の再調整ができたことから、1年延長を申請した。 コロナ禍によって遅れていた研究の進捗を取り戻しつつ、これまでの調査研究をもとに、最終年度の課題研究を仕上げていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の2021年度の影響を鑑み、2022年度には事前に計画を調整したものの、依然として調査可能な状況にならず、計画通りの調査を実施することができなかった。とくに、現地調査の対象地のほとんどが高齢者集落であり、コロナ感染への警戒が強く、集落内の部外者の出入り許可が降りなかったことが大きな要因となった。こうした状況でも幸いなことに、調査法を工夫した結果、本課題研究を遂行するうえで最も重要なアンケート調査を実施することができた。最終年度にあたり、今後も可能な範囲で調整を図りながら成果を挙げられるよう進めていく。調査対象地のうち、高知県については必要に応じて追加調査を行う一方で、新潟県については昨年度実施した実地調査をもとに、神社や神社関係者を対象にした個別調査を実施予定である。 このように、2023年度には、2022年度までに実施することができなかった調査研究を進めるとともに、これまでに収集した情報の整理と、調査結果の分析・考察を行う予定である。そして、調査研究の成果を最終報告書としてまとめるほか、成果を関連学会等で報告・発信していく予定である。
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