研究課題/領域番号 |
19K12960
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 東京大学 (2020-2022) 早稲田大学 (2019) |
研究代表者 |
志田 雅宏 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 講師 (10836266)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ユダヤ教 / 中世 / キリスト教 / 比較宗教 / 宗教史 / 宗教論争 / 民間伝承 / 聖書解釈 / 宗教学 / 哲学 / 聖書 / ユダヤ研究 / 中世ユダヤ教 / 教典 |
研究開始時の研究の概要 |
中世キリスト教世界に生きるユダヤ人は、「神殺しの罪深い民族」や「強欲な高利貸し」といった否定的なステレオタイプが広がる社会のなかでさまざまな宗教文学を生み出した。それは、キリスト教文化との隔絶ではなく、むしろ接触によって生み出された言説である。そのキリスト教への対抗的言説はきわめて多様かつしなやかであり、そこにユダヤ人たちの探求するアイデンティティの源泉を見ることができる。本研究は中世の宗教についての歴史研究であり、ユダヤ教とキリスト教の関係を明らかにするものだが、加えて中世という視点から諸宗教の共存や改宗、マイノリティのアイデンティティといった現代的テーマについての提言をおこなっていく。
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研究成果の概要 |
本研究は西洋中世キリスト教世界のさまざまなユダヤ教文学の分析を通じて、ユダヤ人とキリスト教徒の関係を考察するものである。本研究の特色は、その関係性をユダヤ人たちの視点からとらえようとする点にある。具体的な成果として、ユダヤ人たちによって書かれた宗教論争文学や聖書解釈、民間伝承、神秘主義的文献などによって構築される言説において、キリスト教やキリスト教徒がどのように描かれているのかを明らかにすることができた。また、宗教史の観点から、このような中世の宗教文化が現代のユダヤ教においてどのように受容され、解釈されているのかを考察するための視点を得ることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、中世ユダヤ教研究やユダヤ人の視点に立った西洋中世史研究など、国内の人文学においてかならずしも十分な蓄積がない分野の研究を進めたことである。また、その対象となる時代を中世に限定せず、中世に立脚しながら現代の宗教的な世界をとらえるための視座を提供しようとする点にも大きな意義がある。 また、社会的意義は、迫害史観をはじめとするイメージでとらえられがちなユダヤ人とキリスト教徒の歴史的な関係性を問いなおし、ユダヤ人たちがキリスト教徒の社会や文化に対抗しつつ共生していたという多様な側面を示したことである。
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