研究課題/領域番号 |
19K12962
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
亀山 隆彦 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10790230)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 日本仏教 / 密教 / 身体論 / 胎生学 / 真如論 / 真言密教 / 曼荼羅 |
研究開始時の研究の概要 |
インド・チベットのみならず日本の真言宗でも、「ヨーガ」「マンダラ」といった密教概念の意義は、しばしば男女の「性愛」行為と、続く「胎生」のプロセスに準えて解釈される。しかし真言宗の場合、そのようなヨーガ・マンダラの理解は、「邪流」「邪義」と呼ばれ異端視され、近世以降は「正統」な教理の圏外に追いやられたと主張される。本研究は、このような見解への反論を企図している。すなわち、かつて真言密教で展開された性愛・胎生学的教説は、従来の想定に反して、弘法大師空海に由来する正統な真言密教思想と理念的に連続し、同宗の僧に時代を超えて深い影響を与え続けてきた。この事実を、仏教文献学の方法を通じて論証する。
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研究成果の概要 |
中世期以後、多くの真言僧が性愛・胎生過程に関する独自の教説を残している。それらは、真言密教の各種実践・教説・成道に関する議論で多用され、中世密教の発展にとって不可欠の基盤であったと考えられる。ただし室町以後は「邪義」のレッテルが貼られ、江戸以後、その見解が影響力を大きくしたことから、本来の評価も忘れられたと考えられる。 本研究では、以上の動向を批判的に検討し、改めて真言密教における性愛・胎生学的教説の意義を分析した。その成果として、①性愛・胎生学的教説が、元々「正統」な密教思想と深く結びつき、そこから発展したと考えられること、②中世後期に異端視された後も、まだ影響力を保っていた事実を解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
様々な日本思想史や日本文化論の中で、弘法大師空海が樹立した真言密教思想がいかに重要か強調されてきた。しかし、当の真言密教思想の実態、各時代の全体像については、今なお未解明と言わざるを得ない。特に空海没後、その思想がどう展開したかについては、専門家の間でも、まとまった見解は発表されていない。 本研究は、第一に、このような思想研究の課題解決を目指したものである。さらに、本研究では、真言密教が最も大きな社会的影響力を発揮した時代、具体的にいかなる思想が流通していたか。新たな視点から考察を試みた。その成果は、今後の日本仏教研究のみならず、日本思想・文化の理解にとっても有意義なものであると考える。
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