研究課題/領域番号 |
19K12963
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 神戸女学院大学 |
研究代表者 |
大澤 香 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (10755424)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アイデンティティ / 穢れ / 異邦人 / 第二神殿時代ユダヤ教 / 原始キリスト教 / 原始キリスト教会 / 律法 / 自然法 / パウロ / 隣人愛 / 創造 / 異邦人の穢れ / 捕囚後イスラエル / 聖なる種 / 捕囚 / 他者の受容 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、最初期のキリスト教のアイデンティティ形成の「内的構造」を明らかにすることを目的とする。旧約聖書および第二神殿時代のユダヤ教文献、原始キリスト教会の異邦人受容にとって重要な文献であるパウロ書簡やルカ文書の分析によって、原始キリスト教会が「他者」と「穢れ」をどのように位置づけつつアイデンティティを形成したのか、外的見取り図のみでは捉えきれない他者受容の内的構造を解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、まず、第二神殿時代における「異邦人の穢れ」概念の形成と、捕囚後イスラエルのアイデンティティの確立の関連を明らかにした。次に、第二神殿時代ユダヤ教において、自然界の秩序と神の律法を重ねる認識が、後に第二神殿時代ユダヤ教から分岐して成立したキリスト教の異邦人受容の基盤となった可能性の考察へと進んだ。「他者の受容」と恐らく表裏一体の過程としてある「他者」概念そのものの成立について、「キリスト教形成期における『他者』の実態:共生の地盤としての異邦人」(2022~2025年度)で発展的に継承しつつ、原始キリスト教のアイデンティティ形成における、「異邦人の穢れ」概念消化の内的根拠を分析した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究において、古代イスラエルのアイデンティティの確立と「異邦人の穢れ」概念の関連、自然法と律法概念との関連等の考察を通して、第二神殿時代ユダヤ教から分岐する形で生じた原始キリスト教の形成過程における異邦人受容の内的根拠について分析を行った。第二神殿時代ユダヤ教の中にあった排他的境界付けの図式を初期のキリスト教も取り入れたとの指摘について、その実態の詳細について明らかにするとともに、そこには、境界付けの枠組みの踏襲にとどまらない、他者受容に関連しての新しい意味付けや意味の転換が行われた可能性を指摘するに至った点に、本研究成果の学術的意義があると考える。
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