研究課題/領域番号 |
19K12969
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 藤女子大学 |
研究代表者 |
松村 良祐 藤女子大学, 文学部, 准教授 (80612415)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 情念論 / 愛 / トマス・アクィナス / ボナヴェントゥラ / サン・ヴィクトルのフーゴー / アルベルトゥス・マグヌス / サン・ヴィクトルのフーゴ― / 情念 / 徳 / 枢要徳 / 西洋中世哲学 / アリストテレス / 擬ディオニュシオス / 脱我 |
研究開始時の研究の概要 |
西洋中世哲学において、情念論は未だ「未開の領域」であり、その研究は個々の思想家同士の繋がりや影響関係を明らかにするまでには至っていない。本研究の特色は「愛」という情念を基点とした上で、トマスやボナヴェントゥラら13世紀の思想家に至る情念論の新たな系譜を提示することを目的とするものである。更に、諸情念の分類、及び理性との関係についての彼らの理解を探ることで、人間の認知活動のプロセスや道徳的な意思決定の場面における情念の役割が考えられるための基盤を現代に提供する。
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研究成果の概要 |
本研究は、西洋中世の思想家が情念を扱う上で中心に置いた愛という情念を基点とした上で、未だ「未開の領域(terra incognita)」と言われることの多い西洋中世の情念論に光を当て、13世紀へと至る情念論の新たな系譜を提示することを目的とした。そこで、トマス・アクィナスを中心とする13世紀の情念論を整理すると共に、従来の研究において見過ごされてきたサン・ヴィクトル学派の情念論に注目し、擬アウグスティヌスの『霊と魂について』を経由して、総長フィリップスやラ・ロシェルのヨハネスら13世紀初頭の神学者へと至る新たなルートの解明を試みた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
13世紀における情念論はアヴィセンナの『魂について』やアリストテレスの諸著作を受容し、その影響下で成立したと理解されることが多い。そうした中で、本研究はサン・ヴィクトル学派から13世紀の情念論へと繋がる新たな系譜の解明を試みるのであり、西洋中世における情念論の系譜に対する従来的な理解の再考を促すものであると言える。 また、人間の諸活動において果たす情念の役割が見直されようとしている現代の状況において、西洋中世における情念論に注目し、情念そのものの性格や情念相互の関係に関する基礎的な研究を行う本研究は、現代において情念を検討する上での問題提起と検討材料を提供するものである。
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