研究課題/領域番号 |
19K12971
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 聖学院大学 |
研究代表者 |
村瀬 天出夫 聖学院大学, 人文学部, 准教授 (40768503)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | パラケルスス主義 / 近世 / ドイツ語圏 / 偽書 / 終末論 / パラケルスス / 偽文書 / 科学史 / 思想史 / ルネサンス / 宗教史 / 初期近代 / 科学と宗教 / 科学思想史 / 宗教思想史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、科学革命の潮流と宗教改革の潮流が交差した近世ドイツ語圏の思想運動「パラケルスス主義」を扱う。パラケルスス(1493/94-1541)は近代医学と科学思想に多大な影響を与えた16世紀の医学改革者である。彼とその支持者(パラケルスス主義者)たちの医学改革運動は「パラケルスス主義」と呼ばれるが、それがキリスト教的な歴史観をもとに独自の終末論を展開していく。本研究はこの過程を明らかにするために、16世紀半ばに登場した一連の「偽パラケルスス文書」とその受容過程に焦点をあて、パラケルスス主義終末論の展開を跡づける。「科学」と「宗教」とが不可分であったこの時代特有の歴史的局面に注目する研究である。
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研究成果の概要 |
本研究は、科学革命の潮流と宗教改革の潮流が交差する初期近代の「パラケルスス主義」と呼ばれる思想運動について、宗教的な特徴、およびこの運動における偽書群(偽パラケルスス文書)の重要性に光をあてた。偽文書の歴史的な影響を精確に定めようとする本研究のアプローチは、これまで十分に記録されていなかったパラケルスス受容史の一面(初期近代のホムンクルス論の歴史)を補完することができた。またパラケルスス主義が孕む宗教的な側面について、特に終末論的な特徴をパラケルスス死後の支持者たち(P.リンクやO.クロル)について確認するとともに、そこにおける偽文書の影響を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は未開拓の文書群をとりあげることによって初期近代の未開拓領域への貢献を果たした。特に、学問の改革を目指したパラケルスス主義運動が、終末論的な議論を孕んでいたことは、この時代の科学と宗教との関係に新たな知見を加えるものである。また、初期近代のホムンクルス論の歴史は、当時の錬金術的な自然模倣・自然操作の観念が批判・排除されることによって、却って近代文学の素材(ゲーテ『ファウスト』)を準備するという科学思想史と文学史とを繋ぐ視点を提供する。これらの研究成果の一部は一般書店にも流通する書籍やインターネットなどの媒体においても発表され、本研究事業の社会的還元を試みた。
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