研究課題/領域番号 |
19K12973
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 京都大学 (2021-2022) 同志社大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
渡辺 恭彦 京都大学, 大学文書館, 特定助教 (90817727)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 高橋和巳 / 戦後知識人 / 戦後民主主義 / 全共闘運動 / 京大闘争 / 超越的価値 / 社会運動 / 吉本隆明 / 丸山眞男 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦後民主主義の意味がとりわけ強く問われた1960年代から70年代までを対象とし、代表的知識人が戦後民主主義をどのように捉えたのかを解明する。第一に「戦後民主主義という価値を知識人がどのように捉えたのか」、第二に「戦後民主主義が問われた社会運動に知識人がどのようにコミットしたのか」という問いを設定し、以下の方法を採用する。第一に、戦後民主主義に対する主張を鮮明に打ち出した知識人を対象とする。第二に、対象とする知識人の世代(戦前・戦中・戦後)や思想形成期の動向を踏まえて、安保闘争や全共闘運動への関わりを追跡する。
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研究成果の概要 |
戦後の作家である高橋和巳を戦後知識人として捉え直し、埴谷雄高・竹内好・吉本隆明らと比較しつつ、その戦後民主主義論や知識人論を明らかにした。それにより、戦後日本は敗戦体験を思想化できておらず、超越的価値が不在の状態であると高橋は見なしていることが明瞭になった。高橋が京大全共闘を支持したのも、戦後日本のあり方に不満を持っていることが背景にあった。 さらに、高橋の思想形成を踏まえたうえで、1969年の京大闘争を分析した。教養部教官が闘争学生を支持し教官共闘結成へと至った経緯などに焦点を当てて、新資料なども公開しながら企画展「1969年再考」(京都大学大学文書館主催)を開催した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高橋和巳の小説や評論は、全共闘世代に広く読まれたが、近年では顧みられることが少なくなっていた。本研究では、高橋の思想形成と時代状況とを照らし合わせ、埴谷雄高や竹内好から受けた影響や全共闘を支持するに至った経緯について、思想形成史的に明らかにした。戦後知識人の一人として高橋を位置付けることがある程度できたと考えている。 京都大学大学文書館企画展「1969年再考」では、大学知識人・学生・大学といった複数の当事者の視点を導入して展示内容を構成した。1969年の歴史的検証を進めるにあたって、当事者であった人々へのはたらきかけになったのではないかと思われる。
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