研究課題/領域番号 |
19K12978
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 東京大学 (2020-2022) 東京藝術大学 (2019) |
研究代表者 |
松原 薫 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (50835105)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | バッハ / ロホリッツ / フォルケル / ツェルター / シェーリング / シュヴァイツァー / ポリフォニー / ヴァーグナー / 音画 / 総合音楽新聞 / ディレッタント / ヘンデル / ザラ・イツィヒ(レヴィ) / 女性 / ジェンダー / ズルツァー / 愛好家 / 専門家 / 演奏会 / ゲッティンゲン / ドイツ / 18世紀 / 専門家(Kenner) / 愛好家(Liebhaber) / 音楽 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では18世紀後半にJ. S. バッハの《平均律クラヴィーア曲集》や《フーガの技法》といった対位法的楽曲に関心を寄せた愛好家の姿に着目する。そして彼らが難解な対位法を理解するだけの専門的知識をどのようにして身につけたのか、芸術を生業としないにもかかわらず彼らをそのような学識へと駆り立てた時代背景はどのようなものであったのかを、①18世紀音楽界の「専門家/愛好家」論、②音楽聴取論、演奏会文化論、③18世紀芸術全般におけるディレッタント論の3つの学術的背景から検討する。概念レベル、実例レベルの両方からの考察を通じて、従来の研究における「専門家/愛好家」の境界の固定的なあり方に再考を促す。
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研究実績の概要 |
本研究課題4年目にあたる2022年度の研究実績は以下の通りである。 ①シュヴァイツアーの音画論に関する論文を執筆する中で、いくつか新たな課題が浮き彫りになった。そのうちの一つとして、シュヴァイツァーとシェーリングの理論に関して、作品解釈との関係も含めて読解を進めた。そしてこの問題に関しては、最終的には、18世紀以前の修辞学的伝統との連関の有無を明らかにするところまで研究を進める必要があることを確認した。 ②フォルケルとロホリッツの著述を検討し、バッハの作品が本格的に出版され始める1800年前後に、批評家たちがバッハの作品をどのように世に知らしめようとしたのかを考察した。その際に『総合音楽新聞』の創刊前後のドイツ語圏の音楽批評界の状況や、バッハのどのような作品が知名度を得ていたのかを踏まえて考察することによって、当時の状況を包括的に把握するよう努めた。検討の結果、《平均律クラヴィーア曲集》の出版をもって語られることの多い19世紀初頭のバッハ受容であるが、その背景には、バッハの作品を難易度に応じて階梯的に捉える傾向があり、批評家たちが、バッハの作品理解の裾野を広げるために《平均律クラヴィーア曲集》以外の作品の周知、啓蒙にも励んでいたことが明らかになった。この内容は論文の形で『美学芸術学研究』に公表予定である。 ③共編者を務めた『啓蒙思想の百科事典』に「ポリフォニーとホモフォニー」を寄稿し、ポリフォニーとホモフォニーの西洋音楽における布置がどのように変化したのかを概括した。18世紀後半(いわゆる古典派)の作曲家によるポリフォニーの使用は、トポスとして捉えられることも多いが、本研究課題の要となる専門家/愛好家の二項においてこの問題をどのように捉えるべきなのか、今後踏み込んで検討する必要があることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のために、当初予定していた調査でまだ実施できていないものがいくつかある。その反面、2022年度は本研究を前進させるいくつかの知見にも到達することができたため、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まだ検討に着手していない18世紀、19世紀の文献や雑誌記事の読解を進める。特に、鍵盤楽曲から始まったバッハ運動が、声楽曲の復興にどのようにつながっていくのか、その接合点について、著述が比較的多く残されている専門家の側からではなく、愛好家の側から明らかにしていく。
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