研究課題/領域番号 |
19K12994
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 東京大学 (2022) 東京藝術大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
針貝 真理子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00793241)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 演劇学 / 声 / 民主主義 / ポストドラマ演劇 / コロス / ルネ・ポレシュ / クリストフ・マルターラー / ドイツ演劇 / 演劇 / 身体 / 喜劇 / 他者 / 自由 / 共同体 / 共存在 / 音楽劇 / 歌声 / 女性 / 空間 / 政治哲学 / 空間性 / 空なる場所 / 政治的なもの |
研究開始時の研究の概要 |
「声」は古来より、人物を表象するものとして政治に不可欠な要素とされ、西洋近代演劇もその発想を受け継いだが、政治哲学者C・ルフォールの指摘によれば、王の死を迎えた民主主義時代以降、権力の場はもはや一人の人物の身体によっては表象され得ない「空なる場所」となった。そこで本研究では、人物表象のメディウムとしての「声」ではなく、聴覚的共存空間を生成する「声」の「空間性」に着目し、「空なる場所」として立ち現れる「声」の空間が範例的に演出された日欧現代演劇の例を分析することにより、「声」という現象における美学的観点と政治哲学的観点を接続し直すことをめざす。
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研究成果の概要 |
政治哲学者C・ルフォールによると、王の身体が権力の場となる時代が終わった後、民主主義における権力の場は「空なる場所」となった。本研究は、現代演劇における「声」が人々のあいだに生成する聴覚的共存空間に着目し、そこに「空なる場所」のあらわれを見出すことで、「声」という現象における美学的観点と政治哲学的観点の接続を行った。具体的には、集団で発声するコロス(合唱)が重要な位置を占める近年の上演例を複数取り上げ、そのコロスが舞台上の個人や観客席の人々と取り結ぶ関係を明らかにした。そこからは、「空なる場所」に集う個人を同一化することなく、むしろその差異を知覚可能にする声のあり方が重要であることが窺える。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
常に日常生活の根底にありながらもそこに可視化されることのない「声」の政治性を、非日常的で特異な「声」を聴かせる現代演劇の例を手掛かりに解明し、それを通して、現在制度化されている民主主義の概念に新たな角度から光をあてた。またその際、あいだの現象としての「声」を手がかりに政治哲学的観点と美学的観点を接続し、これまで曖昧な比喩として捉えられることが多かった政治の「声」を、身体をそなえた具体的な現象として捉え直した。
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