研究課題/領域番号 |
19K13006
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 早稲田大学 (2023) 東京都立大学 (2019-2022) |
研究代表者 |
角井 誠 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (90803122)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 映画 / 映画理論 / 映画演出 / 作家主義 / 生成研究 / フランス映画 / ジャン・ルノワール / 映画演技 / 映画史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、フランスの映画監督ジャン・ルノワールの演出における美学と政治学との関係性を解明することを目的とする。演出を、監督個人の美学の問題としてでなく、監督、俳優、スタッフ、産業、政治といった諸力のあいだで折衝がなされるプロセスととらえ直したうえで、撮影台本、製作資料、書簡などの一次資料に基づいた生成論的なアプローチを用いながら、ルノワールの創造の特質を具体的に浮かび上がらせることを試みる。以上の作業を通じて、作家研究の方法方を再考し、映画研究の発展に資することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、一次資料に基づく生成論的なアプローチを軸としながら、フランスの映画監督ジャン・ルノワールの演出における美学と政治学との関係性を解明することを目的とするものである。 最終年度にあたる今年度は、新型コロナウィルス感染症流行等により延期となっていたパリでの資料調査を実施することができた。シネマテーク・フランセーズ付属図書館、フランス国立図書館を中心に調査を行い、ルノワールの作品生成について、これまでの調査の欠落を埋めることができた。 また、一連の調査、分析の成果を踏まえて、論文の執筆を行うことができた。とくに、ルノワールの代表作の一つである『ランジュ氏の犯罪』について、未刊行の一次資料を元に作品の生成過程を明らかにし、その上で空間の演出という観点から映画テクストを分析することで、同作における空間の力学、政治学を浮かび上がらせることを試みた。同論文は、生成研究を用いた「美学と政治学」の絡み合いの研究を具体的に展開した成果である。同論文は、『仏語仏文学研究』(東京大学フランス語フランス文学研究室)に掲載される。 加えて、ルノワールについての研究を踏まえた上で、複数の監督に関する論考を執筆した。とくに、ヌーヴェルヴァーグを代表する映画作家ジャン=リュック・ゴダールの『アワーミュジック』について、美学と政治性の結びつきを論じた。また、ジャック・ロジエの遺作『フィフィ・マルタンガル』についても論考を執筆した。リアリズムと演劇性を特徴とする点で、ロジエはルノワールの系譜にある作家であることが確認できた。 研究期間全体を通じて、ルノワールについて発表、論文執筆を行うとともに、その成果を広く他のフランス映画の作家についても応用し、映画演出の美学と政治学を考える礎を築くことができた。ルノワールについては、今後も継続的に成果を発表していく所存である。
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