研究課題/領域番号 |
19K13007
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
山下 晃平 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 非常勤講師 (50792131)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 前田常作 / 国際的同時性 / 戦後日本美術 / 日本文化論 / オノサト・トシノブ / 国際性 / 民族性 / 日本性 / 日本文化 / 文化受容 / 美術批評 / 日本的なもの / 抽象絵画 / 国際美術展 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦後日本の美術史形成過程を明らかにするために、1960年代に国内外で高く評価された作家・前田常作とオノサト・トシノブに対する批評を手掛かりに、当時盛んに議論された美術言説「国際的同時性」の文脈を検証する。そのため、本研究は、作家・作品論ではなく、膨大な言説資料の分析を行う言説史(-制度史)の手法を用いる。結果として、西洋に起因する「美術」の制度受容と日本の独自性の問題という、戦後美術史形成に関わる日本美術界総体としての遷移や文化的構造を捉える。
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研究成果の概要 |
本研究は、1960年代に日本の美術界に頻出した美術言説「国際的同時性」の文脈と同時代に国内外で高く評価された作家・前田常作の批評を比較・分析した。その際、日本文化論も援用した。結果として、「国際的同時性」の文脈には、「国際性」に対する価値基準の偏向の問題と、一方で画壇から個へという国内制度の問題とが重層的に関わっていることを捉えた。そのような日本美術の「国際性」は、メインストリームの価値基準だけへの「収束し難さ」を伴っており「逸脱」を伴う。この価値基準の多層性を「国際的同時性」における日本的性質と捉え、戦後日本の美術史形成過程に関わる日本の「国際性」の性質を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、これまでの日本の前衛史では見過ごされていた、1960年前後の日本の抽象絵画が果たした役割を明らかにした点にある。日本における真の「国際的同時性」は、1960年代の「反芸術」世代の一つ前の世代にすでに発端があり、前田常作はその重要な位置付けにある作家とみなすことができる。 またこのように美術言説「国際的同時性」の発端を、前田常作やオノサト・トシノブら1960年前後の抽象絵画の表現論にまで遡らせることによって、日本美術界の構造を押さえた国際的に発信し得る日本の「展覧会史」を形成することが可能となる。
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